日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧高清水町(栗原市)を写真とともに紹介する。
Vol.305/宮城県旧高清水町(栗原市)
ここまで、栗原市の旧市町村を9つ訪れてきたけれど、10番目の最後に訪れたのが、旧高清水町だ。桂葉清水という湧水と、高清水新堤自然公園へ訪れてみる。
高清水総合支所からも近いところに桂葉清水は位置していて、木々に囲まれた小径の中に、石積みでつくられた井戸のような穴があり、そこに桂葉清水があった。おそらく虫が入らないように網が置かれていて、覗いてみると水も確かにあった。どれぐらい水が湧いているのかまではわからなかったけれど、大切にされてきたという存在感は真っ直ぐに感じられた。
市街地は太い道路に家やお店が並んでいて、昔からの気配もあった。家の形もよく見ると四角い形が多くて、東北地方の中でも違いがあるよなあと感じられる。たとえば、福島県の会津地方と比べると、家のつくりはまったく違うように思う。また、歩いていると食堂も見つけたので昼食をとることにして、冷やし中華を食べた。地元の食堂で冷やし中華を食べる、というシンプルな体験だけれど、なんだかとても尊かった。
最後に高清水新堤自然公園へ向かった。池のような新堤と緑の自然が広がっていて、木々が水面にも反射していた。流れている時間はとても静かで、深呼吸をして歩いた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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