日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧河北町(石巻市)を写真とともに紹介する。
Vol.323/宮城県旧河北町(石巻市)
次に訪れたのは旧河北町。震災遺構の大川小学校と、旧北上町を巡ったあとに道の駅「上品の郷」を訪れた。
今回、すでに震災遺構の小学校を宮城県で2つ訪れていた。山元町の中浜小学校と、仙台市の荒浜小学校。
いずれも、「津波からどうやって助かったか」に触れる場であった。
けれど、大川小学校は、違う。性質的には逆で、「なぜ助からなかったのか」。
全校児童108名のうち74名が、教職員11名のうち10名が命を落とした。
やがて学校は遺族と行政の裁判の場となり、命を巡る議論が、長く繰り広げられた。命は簡単に答えの出ない、しかしもっとも尊い問いだ。
いろいろと感じることはあるけれど、パネルに書かれた平和な日常への言葉を読んだとき、広島や長崎、沖縄が浮かんだ。
「奇跡の少年」として生き残った方が、その立場に苦しみながらも感じてきたことが、新聞記事になっていて、その中でも、広島への訪問が転機になったと書かれていた。
命への向き合い方は、もたらされたものによって、変わる。
どんな立場でも、大切な命を、大切にできるように。
道の駅「上品の郷」に向かう途中は、目の前が見えないほどの土砂降りになった。そのときはほんとうに写真を撮る余裕もなく、スーパーカブで走ることに精一杯集中した。なんとか道の駅に到着し、ちょっと休憩して、また再出発したのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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