日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県大船渡市を写真とともに紹介する。
Vol.334/岩手県大船渡市
大船渡市の旧三陸町からUターンし、合併前の大船渡市の地域へ訪れる。主に碁石浜と盛駅周辺を巡った。
碁石海岸は末崎半島の東南端約6kmの海岸線で、そこに黒い玉砂利の海岸である「碁石浜」がある。いくつかの港を抜けて碁石浜に着くと、確かに風光明媚な場所に、あまり見慣れない色の海岸があった。
何より、波打ち際へ近づいてからが碁石浜の真骨頂だ。さほど大きくはない波ではあったけれど、波がやってくると石を持ち上げて、引き波のときに「しゃらしゃらしゃら…」と綺麗な音を立てるのだ。鳥取県の琴浦町には、鳴り石の浜という観光スポットがある。特徴は似ていて、石が波で音を立てるわけだが、碁石浜の石の方が小さいと思う。だから、「カラカラカラ」というよりも、少しやさしい「しゃらしゃらしゃら…」という音だった。
その後、盛駅周辺を訪れた。JR盛駅は大船渡線BRTが通っており、三陸鉄道とJRのターミナル駅になっている。そして、三陸鉄道の盛駅からは、久慈駅まで一本でつながっている。震災や台風、いろいろな変遷を経てこの形がある。駅前では地元のお母さんたち二人が仲良く自動販売機で飲み物を買っていた。周辺も懐かしい建物が並び、日常のささやかな尊さを感じたのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247