山梨県・小淵沢にある「中村キース・ヘリング美術館」は、愛知県・名古屋市の松坂屋美術館で開催中の「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」の特別協力として、監修および約140点の作品を出品している。
同展の会期は、11月16日(土)までだ。
世界中で愛されるキース・ヘリング
明るく、ポップなイメージで世界中から愛されているキース・ヘリング。同氏は「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークで地下鉄駅構内やストリートなど、日常にアートを拡散させることで社会へ強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を子どもたちに託した。
同氏が駆け抜けた31年間の生涯のうち、創作活動期間は10年程だが、残された作品に込められたメッセージは今なお響き続けている。
総作品数は約150点
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、総作品数約150点で構成されており、キース・ヘリングがアーティストとして活動した10年程の間に制作した作品の全容を概観できる展覧会。
6会場で開催予定で、松坂屋美術館以降は、静岡と水戸の2会場の巡回が控えている。
同展で展示されている、キース・ヘリングの名前が世界に広く知られるきっかけとなったサブウェイ・ドローイングプロジェクト作品7点のうち、「中村キース・ヘリング美術館」は2点の『無題(サブウェイ・ドローイング)』を出品。他5点はニューヨークから出品され、この巡回展が日本初公開だそう。
松坂屋美術館のエントランスをくぐると、まず彫刻《セルフポートレート》を、その後ろにキース・ヘリングがサブウェイドローイングを描く過程の写真を展示。サブウェイ・ドローイングプロジェクトによって描かれた作品が、コミカルで明るい表現から、社会への風刺を感じさせるものまで多彩な作風であったことや、同氏がすばやく作品を仕上げていく様子など臨場感をもって見ることができる。
ポップショップ東京で販売された茶碗を出品
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、6つの章で構成されている。最後の章「キース・ヘリングと日本」では、同氏が1988年にオープンしたポップショップ東京で販売された茶碗を「中村キース・ヘリング美術館」から出品。
日本の伝統を取り入れた作品を、ポップショップ東京で販売することにこだわりを持っていたというキース・ヘリングは、1987年の来日時に日本各地でオリジナルグッズの制作を行ったという。
同年10月27日(木)の同氏の日記には、新幹線で名古屋に到着し、陶磁器メーカーの工房を訪れたことが記されている。茶碗の形を選び、陶磁器特有の釉薬に夢中になりながら4時間をかけて制作された茶碗を、陶磁器の歴史が深く、同作品と縁深い愛知県の会場で鑑賞してみては。
静岡と水戸会場も巡回予定
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、松坂屋美術館での開催後、11月28日(木)~2025年1月19日(日)に静岡の静岡市美術館、2025年2月1日(土)〜4月6日(日)に水戸の茨城県近代美術館での巡回が予定されている。
まずは、愛知県ゆかりの作品も出品されている松坂屋美術館での「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」へ、足を運んでみては。
■「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」開催概要
会期:9月28日(土)~11月16日(土)
会場:松坂屋美術館 松坂屋名古屋店 南館7階
住所:愛知県名古屋市中区栄三丁目16番1号
定休日:会期中無休
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は30分前まで
公式サイト:https://kh2023-25.exhibit.jp
All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
(佐藤ゆり)