夏川草介さんの著書『スピノザの診察室』が、10月31日(木)、第12回京都本大賞を受賞した。
夏川草介さんについて
『スピノザの診察室』は、2023年10月27日(金)に刊行された夏川草介さんの著書だ。
同氏んは、1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業で、⻑野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり、映画化された。同氏の他の著書では、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』などがある。
『スピノザの診察室』のあらすじをチェック
『スピノザの診察室』のあらすじを紹介しよう。
その医師は、最期に希望の明かりをともす。雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが。
もっとも地元の人々に読んでほしいと思う小説を決定
『スピノザの診察室』は、今回第12回京都本大賞を受賞した。
京都本大賞は、京都の書店や出版社、出版取次により構成される京都本大賞実行委員会が主催。過去1年間に発表された京都を舞台にした小説を対象に、もっとも地元の人々に読んでほしいと思う小説を決める賞だ。
実行委員会により最終ノミネート3作品が選ばれ、その中から一般読者の投票(書店店頭とウェブにて)の結果、10月31日(木)に大賞が決された。
同日、京都市内で行われた受賞式では、実行委員長で、ふたば書房代表取締役の洞本昌哉さんより賞状と盾が贈られた。洞本さんは、「『スピノザの診察室』は、書店店頭投票とウェブ投票ともに第1位を獲得した。京都の夏の風景をうまく取り入れながら、淡々とした京都の本当の姿が書かれた良い本。改めて死とは何か、生きるとは何かを考えさせられる」と選評を述べた。
夏川草介さんのコメントを紹介
大賞受賞にあたり、著者の夏川草介さんは、「京都は私にとってひときわ思い出深い町です。生まれは大阪府高槻市ですが、中学・高校時代の友人たちの多くが京都在住で、通い続けた予備校も八条口の駿台京都南校であり、三条通の河合塾でした。
そんな懐かしい街並みをできるだけ丁寧に描いた作品が『スピノザの診察室』です。すでに信州に居を移して長く、私の知る京都は、今はもうずいぶん変わったかもしれませんが、何年たっても変わらぬものがしっかりと残っているのも京都という町の楽しさでしょう。そんな町の雰囲気とともに、本書が多くの人の手に届いてくれれば嬉しい限りです」とコメントを寄せた。
『スピノザの診察室』の価格は1,870円(税込)。2024年本屋大賞の第4位にもランクインし、映画化も決定している。また、2025年にはシリーズ第2作を刊行予定だ。
この機会に、『スピノザの診察室』を手に取ってみては。
『スピノザの診察室』特設サイト:https://spinoza-clinic.jp
(ソルトピーチ)