京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)では、映画監督、文筆家、そして視覚芸術家としてマルチに活躍するイザドラ・ネヴェス・マルケス(Isadora Neves Marques)氏を日本で初めて紹介する機会となる個展「ヴァンパイア・イン・スペース」を、11月4日(月)から開催している。
イザドラ・ネヴェス・マルケス氏について
イザドラ・ネヴェス・マルケス氏は、1984年、ポルトガル・リスボン生まれ。リスボン大学で美術を学び、ロンドン大学ゴールドスミス校にてアートアンドポリティクス修士号を取得。映画監督、執筆家、視覚芸術家として、ジャンルの枠を超えた活動を展開する。
近年は、カンヌ国際映画祭(国際批評家週間)やトロント国際映画祭など各地で作品を上映。ヴェネツィア・ビエンナーレ、ソフィア王妃芸術センター、テート・モダンなど、世界主要都市の美術館やギャラリーで作品を発表し、国際的なアートシーンにおいてその存在感を高めている。2023年にペドロ・ネヴェス・マルケスから名義を変更した。
エコロジー、身体の定義、新たなテクノロジーの可能性と限界、クィアの権利といった現代社会が抱えるテーマに鋭く迫るネヴェス・マルケス氏の作品は、現在、国際的な舞台で大きな注目を集めている。
映画、詩、小説、インスタレーションなど多彩な手法を用いて、フェミニズムや性の多様性、植民地後の社会文化などに対する関心をSF的アプローチと巧みに融合させた彼女の作品は、進行中のグローバルな課題に深い思索を通じて応答する。それらは包括的な社会を築くための議論や行動の必要性を問いかけると同時に、未来に向かう私たちに新たな視点と想像力を呼び起こす。
話題の映像インスタレーションを再構成
今回の個展「ヴァンパイア・イン・スペース」では、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレで話題を呼んだ映像インスタレーション「Vampires in Space」(2022)を@KCUAの展示空間に合わせて再構成。同作では、ヴァンパイアが異なる身体や能力を持つ人々のメタファーとして描かれる。今日の人間関係やメンタルヘルス、ジェンダー・アイデンティティ、クィアの生殖権、家族観に触れながら、現代社会における想像力の変容やフィクションが担う役割について考察する。作家自身のジェンダー体験に根ざしたSF的物語によって、身体と欲望に対する支配の歴史について政治的観点からの見直しを試みる。
また、同作品と響き合う短編映像作品「The Ovary」(2021)や「Meat is Not Murder」(2021)もあわせて上映することで、彼女の作品世界をより多層的に紹介する。
芸術の秋、ポルトガル代表の気鋭アーティストによる日本初個展に足を運んでみては。
■イザドラ・ネヴェス・マルケス展「ヴァンパイア・イン・スペース」
会 場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
住 所:京都府京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F
会 期:11月4日(月)~12月22日(日)
時 間:10:00~18:00
休館日:月曜日 ※11月4日(月)は開館
入場料:無料
詳 細:https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2024/11455
(佐藤 ひより)