キャンピング車両の製作販売などを行うトイファクトリーは、愛知県犬山市が12月2日(月)から実施する公共ライドシェアの車両として、マルチパーパスモビリティ車両「MARU MOBI(マルモビ)」を無償貸与した。
「MARU MOBI」について
「MARU MOBI」は、内閣府推進の主要政策の一つ「災害に強い国づくり:国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)」に向けて注目される「平時活用、有事機能発揮」を形にした車両。
トヨタのハイエースをベースに、取り外し可能な脱着式シートや特殊構造を車内に設置し、レイアウトを用途に応じて組み替えられるモードチェンジが容易で、汎用性が高いのが特長だ。
1月には、トイファクトリーが日本総代理店を務めるスイス製のウォーターレストイレ「clesana(クレサナ)」を「MARU MOBI」車内に搭載したトイレカーを緊急開発し、被災地に派遣した。
その後さらに開発が進められ、「MARU MOBI」車内には、「clesana」と個室ユニットを用いて、最大2部屋のトイレの設置が可能に。脱着は工具無しで簡単にできる。
この「clesana」など「MARU MOBI」に搭載する家具や設備、シートなどは「脱着式」であることが特徴で、シチュエーションに応じて車両の内装を組み替えることができ、多目的に活用できる先進的な車両となっている。
犬山市の公共ライドシェア
公共ライドシェアは、地域や時間帯としての「交通空白地」解消を目的として、自治体や非営利団体が主体となり、自家用車(白ナンバー)で有償運送をするサービスで、急速な高齢化による交通弱者の増加や緊急時の対応力向上など、様々な課題解決につながる。
犬山市が実施する公共ライドシェアは、道路運送法第78条(第2号による事業者協力型 の自家用有償旅客運送)を適用し、市が実施主体 、交通事業者が車両の運行及び管理を行い、岐阜バス「明治村線」の一部路線 犬山駅東~長者町団地南で、6:00~7:30及び18:00~19:30の「交通空白時間帯」の、平日のみ(祝日・年末年始を除く)運行する計画だ。
使用される「MARU MOBI」は、車両10人乗りのワゴン車(ハイエース)1台。無償貸与の期間は、11月~2026年3月末までとなっている。
マルモビパートナーシップ協定を締結
今回の犬山市への車両貸与に合わせて、トイファクトリーは犬山市とマルモビパートナーシップ協定を締結した。
マルモビパートナーシップ協定とは、マルチパーパスモビリティ車両を所有・使用し、かつトイファクトリーとマルモビパートナーシップ協定を締結している自治体・団体・民間企業等が、災害発生時に人道的立場から可能な範囲内で、車両の相互貸与協力を図ることで、避難所の設置・運営等災害対応を迅速かつ円滑に行う協定だ。
納車式と協定締結式を実施
11月1日(金)に、犬山市役所にて車両の納車式および協定締結式が執り行われた。
犬山市 原市長は、以下のようにコメントしている。
「公共交通機関の減便により、その地域に住む皆様の足の確保が課題となる中で、国が推進している『公共ライドシェア』を実施し、今後の公共交通機関の在り方を検証していきたいと考えていた。
そんな中、同じように東海地区の企業で、防災視点での車両開発や、地域やまちづくりも意識した活動をされているキャンピングカーメーカー『株式会社トイファクトリー』様とご縁があり、ライドシェア車両を貸与頂くことになりました。
(中略)平日の朝夕は減便地区の交通機関補強のためにライドシェア車両として活用させて頂きますが、平日の日中や土日など、ライドシェア運行がない日時には、多機能車両である『マルモビ』の特長を生かして、様々な活用をさせて頂きたいと考えています。(後略)」
また、トイファクトリー 藤井社長は以下のようにコメントしている。
「(前略)私たち株式会社トイファクトリーは元々はキャンピングカー製造メーカーですが、そのキャンピングカー開発での技術やノウハウを軸に、いかにモビリティを変革させられるかという事に挑戦し、遊びだけでなく、防災まで役立つという視点でクルマ作りを行っています。
今回のマルモビ車両は、平時はライドシェアで地域のコミューターバスとしてしっかり活用していただき、もしも有事の際には有効活用できる、多機能な車です。
(中略)犬山市様にはこのマルモビ車両をしっかりと使っていただき、良い点も悪い点もフィードバック頂きながら、改善につなげていきたい。愛知県犬山市様に使っていただく事ができて、大変うれしく思います。」
「MARU MOBI」を使用した犬山市の取り組みに注目だ。
MARU MOBI オフィシャルサイト:https://toy-factory.jp/marumobi
(yukari)