日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧東山町(一関市)を写真とともに紹介する。
Vol.342/岩手県旧東山町(一関市)
この日の旅で最後に訪れたのは、旧東山町だ。東磐井郡の西部に位置し、町域の大部分は丘陵地帯になっている。市街地は砂鉄川や猿沢川沿いの平野部にギュッと集まっていた。山を中心とした緑に囲まれつつ、市街地の建物は昔からの懐かしい景色が感じられる。大船渡線も通っているので、駅が暮らしの中の身近にもありそうだ。
そして、一関市では厳美渓(げんびけい)と並んで、猊鼻渓(げいびけい)も有名である。砂鉄川上流に広がる渓谷で、厳美渓と漢字が一字違いなので、ちょっとややこしい。
また、厳美渓は散策して楽しむ場所だけれど、猊鼻渓は舟に乗って楽しむのが一般的だ。入口まで向かってみると、雨にも関わらず観光客も多い。日本人だけではなく、海外の観光客もたくさんいた。それに、きんさんとぎんさんが百二歳のときの手形も石碑になっていて、どうやら百二歳のお誕生日の際に猊鼻渓にいらっしゃったと。すごいなあと思うばかりだ。
ただ、舟の営業時間が16時で、すでに時刻は16時だった。というわけで、舟に乗ることは断念。そうかあ、舟の時間まで考えられていなかったなあと。一年を通して営業しているとのことなので、春夏秋冬の景色も楽しめそうだ。冬はこたつ舟での運航で、雪の降る日であれば、きっと幽玄な景色が待っている。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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