いぬねこ共生ラボラトリーは、千葉県の房総半島を中心に農作物等の被害で深刻な問題となっている特定外来生物「キョン」の大量繁殖と、それに伴う生息域の北上を防ぐため、「総 -sou- プロジェクト」を11月22日(金)のわんわんにゃんにゃんの日に発足した。
同時に、キョン肉を主原料としたドライドッグフードやジャーキーおやつ、キョンの革を使用した首輪を発売し、同プロジェクトのECサイトや直営店(ドッグサロンSTELLAUNO)、ペット向けイベントで販売する。
キョンの推定個体数が15年で20倍以上に
近年、メディアでも取り上げられる機会が増えた特定外来生物、キョン。キョンは中国や台湾などが原産のシカ科ホエジカ属のシカの仲間だ。
現在、国内で自然繁殖しているのは千葉県と東京都の伊豆大島町といわれている。千葉県では、1980年代に房総半島にあったテーマパークから逃げ出した個体が繁殖し、徐々に増えていったと考えられている。
その後、千葉県内では2007年に約3400頭だった推定個体数が、2022年には20倍以上の約71500頭と発表されている。この中の一部が勢力を拡大させ北上し始めているという。
農作物の被害総額は年間数百万円といわれ、今後も繁殖が増えればさらなる被害増加が懸念される。
プロジェクトが始動するまで
「総 -sou- プロジェクト」を主催するいぬねこ共生ラボラトリーは、2018年に設立された。
代表を務める小坂邊信さんは、ペットフード研究家として、ペットフード専門のポータルサイトの運営、クライアント企業のペットフードの開発サポートやマーケティング、食育向上のためのセミナーなどを行っていたが、自身が生まれ育った千葉県でキョンの大量繁殖が問題になっていることを危惧し、キョンの肉をペットフードやペット用おやつに利用できないかと、猟師や解体施設にアプローチを始める。
鹿や猪を本業とする人からは良い回答を得られなかった一方、ペットの飼い主からは、「うちの子、食物アレルギーが多くて食べられるお肉が少ない」「チキンや馬が合わないみたいでお腹を下してしまう」などの声もあり、「キョン肉があれば、そんな悩みの解決方法の一つになるのではないか」とさらに思いを募らせていたという。
そんななか、2024年初頭に千葉県内にて猟師業を営む千倉聡太さんと知り合う。ペット関連の専門学校でドッグトレーナーを専攻していた千倉さんは犬に詳しく、キョン肉の犬猫に対する有用性に注目していたこともあり、共にプロジェクト化を進めることとなった。
また、キョンの革をペット用の首輪にできないかと、県内で革製品を作製・販売している「611」の田村登茂美さんに相談し、キョン革の首輪作製にも目処が立った。
こだわりのドッグフードと首輪
ドッグフードについては、小坂さんのペットフード研究家としてのこだわりで、キョン肉の含有量を50%以上にし、近年増えている犬の食物アレルギーにも対応できるようにグレインフリーにした。製造方法にもこだわっており、熱に弱い栄養素や酵素が壊れないよう、70℃以下の温風で乾燥させる製法を取り入れている。
キョン革については、専門家の技術指導のもと、「革のシルク」と称されるほど滑らかな特性を引き立てつつ、安全性に配慮したタンニンなめしのキョン革を使用した。
「命」を有効的に「使」うことを「使命」とし、「総 -sou- プロジェクト」を進め、「生命のため=千葉のため」の方程式に共感してもらえるよう活動していきたいとしている。
商品詳細
ドライドッグフードは1種類、ジャーキータイプはキョン・鹿・猪の各部位から厳選した5種類をラインナップ。キョンはもちろん、鹿、猪のすべてが千葉県房総半島で獲れた原料を使用している。
また、首輪に使用するキョン革は、「革のシルク」と評されるほどに滑らかな肌触りが特徴だ。
ドライドッグフード、ジャーキーの価格は890円(税込)~。ジャーキー系おやつは犬猫兼用だ。
首輪のロゴの刻印は猪革に。ハーフチョークタイプは12900円(税込)。
千葉県の農作物被害削減を目指す、キョン肉を使ったペットフードや首輪をチェックしてみて。
総 -sou- プロジェクト HP:https://www.sou-chiba.com
総 -sou- プロジェクト Instagram:https://www.instagram.com/sou.project2024
いぬねこ共生ラボラトリー Instagram:https://www.instagram.com/inunekolabo_1122
(さえきそうすけ)