日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧大迫町(花巻市)を写真とともに紹介する。
Vol.351/岩手県旧大迫町(花巻市)
旧東和町から北東の方角へ進み、旧大迫町へ入った。「おおさこ」ではなく、「おおはさま」と読む。大迫は古くから釜石街道の宿場町として栄えており、現在の道路を見ても、盛岡と遠野や釜石方面を結ぶ国道が通っている。
市街地へ訪れてみると、「神楽とワインの里」というまちのキャッチコピーを見つけた。伝統的な神楽と産業のワイン、違う二つの魅力がそれぞれあるとは、すごくカッコいい。
ワイナリーの近くを訪れてみると、道路脇の歩道が観賞用のブドウ畑になっていて、実際にブドウの実もなっていた(観賞用で食べられないという但し書きと一緒に)。カブに乗っているので、ワイナリーで試飲できないのが残念だ。ワインの味がわかる人もかっこいいけれど、ワインをつくる人もつくづくカッコいいなあと思う。
また、大迫では「早池峰神楽」と呼ばれる神楽が500年以上の伝統を持ち、伝承されている。早池峰神楽は大きく早池峰神社の奉納神楽である「岳神楽」と、大償神社の奉納神楽である「大償神楽」に分かれており、平成21年には早池峰神楽がユネスコの無形文化遺産に登録されている。定期的な奉納も行われており、機会があればほんとうに見てみたいなあと思う。山陰や九州、それに東北、津々浦々、日本には神楽の文化が残っていて、それはこの国の豊かさだと思うばかりだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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