日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県宮古市を写真とともに紹介する。
Vol.358/岩手県宮古市
次にやって来たのは宮古市だ。宮古市では思い出がある。前回の旅では、「みやこ秋まつり」と訪問日が重なって、お祭りに一緒に参加させてもらった。ものすごく明るくて、パワーをもらったお祭りで、今も続いているようなので、嬉しいと思うばかりだ。
そして、前回の旅では、浄土ヶ浜にも訪れて、展望台から景色を見ていた。三陸を代表する景勝地であり、宮沢賢治もこの地へ足を運んでいる。だから、今回はもっと近くまで行ってみようと思った。
すると、海がほんとうに透明で、その先に見えた浄土ヶ浜も、なんじゃこりゃと思った。鋭く削られた岩石が、海から飛び出ながらも連なっている。圧巻だ。青森の仏ヶ浦が思い浮かんだが、やはり極楽浄土とは、まさしくこのように見事な景色なのだろうかと。
1500円を支払って、青の洞窟まで行けるボートにも乗った。今日行かないと、後悔するに決まってる。
船に乗る手続きをするときも、若い男の子たちが大人の手伝いをしていた。まだ大学生ではないような気がして、多分、地元の中高生なんじゃないだろうか。「お前ら、ちょっと手伝ってくれよ」というような感じで、手伝いをしながら手があけば海で泳いだり、ボートに乗ったり、そういった自由も許されているようだった。もしかしたら、こうした地元の中高生たちの夏休みがあるのかもしれない。彼らからしたら最高なんじゃないかな。なぜなら友だちとこの美しい海で過ごせるってことだもの。
船に乗って青の洞窟を目指す。浄土ヶ浜の岩石たちは、間近で見てもすごかった。そして、ヤマネコと一緒に遊ぶようにして青の洞窟に着き、船長さんが解説をしてくれた。光が差し込むことで、青く見えるのだそうだ。確かに海がいっそう青く感じる。奥には潮吹岩があって、一度バッサーと、おおきなしぶきが上がった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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