日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧田老町(宮古市)を写真とともに紹介する。
Vol.359/岩手県旧田老町(宮古市)
宮古市街地から北へ進むと、旧田老町に入る。田老と書いて「たろう」と読むし、道の駅やほかの看板も、平仮名で表記されていることが多く、脳内で「太郎」に変換されることもしばしば。好きになっちゃう名前だよなあ、たろうって。
まずは震災遺構の「たろう観光ホテル」を目指す。野球場のそばに郵便局があり、郵便ポストの側面にスイカや向日葵、うちわといった夏らしいステッカーが貼られていて、思わずほっこりだ。
そして、たろう観光ホテルは東日本大震災による津波の被害を受けていて、4階まで津波が浸水したと。高さは17mを超えるとも言われていて、津波の威力というものにはつくづく言葉を失ってしまう。
ちなみに、旧田老町では町全体を囲むように、高さ10mの巨大な防潮堤が昭和年代に完成しており、かつて「万里の長城」と呼ばれていたと。その防潮堤を超えて、津波はやってきたわけだ。
また、「三王岩」という巨大な岩のある海岸線にも訪れた。展望台から眺めると、広く入り組んだ海岸線とともに、大きな岩が聳え立っている。同じ海面の高さまで降りたら、もっと大きく見えるのだろうなと。何度も繰り返し大きな津波があったとしても、こうした岩が残っているのだと思うと、自然への畏怖の思いはつのるばかりだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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