日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧松尾村(八幡平市)を写真とともに紹介する。
Vol.363/岩手県旧松尾村(八幡平市)
旧西根町の焼走溶岩流から、旧松尾村へ移動する。移動中の景色からはずっと岩手山の存在が気になった。集落を通ったときも、道路の正面から見える岩手山にどうしても目が止まって、その美しさに心を奪われた。住宅の前に植えられた花々も小さく凛として輝いている。ここに存在する四季には、きっとささやかな自然と大きな自然がそばにあって、生活が流れていると感じられた。
そして、八幡平アスピーテラインを進んで、八幡平の山頂などを目指す駐車場に着くまで、何度も途中でバイクを停めながら進んでいった。それぐらい、また素晴らしいずっと続いていて。
途中で写真を撮ろうとバイクを停めたとき、ハイキングスタイルで歩いているおじさんがやってきて、朗らかな表情で撮ってきた写真を見せてくれた。この快晴のもと、自然を全身で感じていると、きっと心も晴れやかになる。目の前には深い緑の木々が海のようにどこまでも広がっていて、水辺が見えると、また緑と青のコントラストに心が安らいだ。ああ、いったい自然というものは、なんて壮大なんだろう。と、ありきたりな気持ちではあるけれど、やはり素直にそのように思ったのだった。
駐車場は秋田県と岩手県の県境で、標高は軽々と1,500mに。この後、八幡平の山頂まで歩いて行った。
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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