日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧安代町(八幡平市)を写真とともに紹介する。
Vol.364/岩手県旧安代町(八幡平市)
八幡平アスピーテラインを進み、駐車場から遊歩道に入って、山頂を目指した。道中にはガマ沼や八幡沼といった沼がいくつかあり、いずれもよく見る湖や沼とは違って、周囲がすっぽりと緑に覆われており、すでに標高が高いことから、沼がクレーターのように凹んで見えた。山頂に着くと、遠くに岩手山の頭上1/3ぐらいも見えた。岩手山は登山に時間を要するが、八幡平は駐車場の標高も高いので、山頂までは比較的気軽に向かうことができることも知ったのだった。
そのあと頂上からは50kmぐらい走って、旧安代町の荒屋新町駅周辺を目指した。
山を降りて、荒屋新町駅付近まで向かっていく。山も田んぼも緑がこれ以上なく深い味わいで、風が吹けば緑が踊った。道中も何気ない住宅街を通るだけで自然とまちなみが心に染み入る。また、踏切がちょうど鳴ったので、カブを停めて列車を待ってみた。一両しかない電車が遠くから徐々にやってきて、右から左へ通過していくのを見ると、景色も相まってか、ずいぶんとゆっくりで、時間の流れも遅く感じられたのだった。そして、荒屋新町駅の周辺へ向かうと、昔ながらのなつかしい雰囲気が広がっていた。集落が現れると、いつもほっとする。
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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