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能登の現実を伝える書籍『能登半島記(未完)被災記者が記録した300日の肉声と景色』

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時事通信出版局は、中日新聞北陸本社(北陸中日新聞)七尾支局長の前口憲幸氏・著『能登半島記(未完)被災記者が記録した300日の肉声と景色』を、12月18日(水)より発売。

能登の現実を伝える貴重な本

地震、津波、火災、そして9月の豪雨で「多重被災」している能登半島。

1月 震災直後

今回発売される『能登半島記(未完)被災記者が記録した300日の肉声と景色』2,200円(税込)は、震災一年を前に、今なお復興が進んでいないと言われる能登の現実を伝える貴重な本。

能登在住で被災した記者が、震災直後から、毎日朝刊に書き続け、被災者から大きな反響を呼んでいる小さなコラムと写真を300日分まとめ、一冊にした。「ここに住んで書いとるのが分かる」。被災者からそんな声が寄せられるリアルな記録だ。

2月 焼けた輪島朝市(左)と輪島駅前(右)

同書は、少しでも地域の復興に寄与するため、能登半島にある石川印刷で印刷し、全国に配本する。売り上げの一部は、被災地への寄付に充てられるという。

くじけず、励まし合う能登の人たち

3月 珠洲市鵜飼漁港

4月 七尾市内

日本海に突き出た「能登国」。細長く、平地が少ない急峻な半島だ。その昔から、多様な魅力を育んできた地形がネックとなり、なかなか復興が進まない。停電、断水、通信障害、2016年の熊本地震や、その5年前の東日本大震災よりも、難航している感が否めない。

5月 輪島市。左は海底隆起した黒島漁港

6月 公費解体が始まった輪島朝市(左)

それでも、能登の人たちはくじけず、励まし、支え合う。「大丈夫。何ともない」を意味する「なんとんない」。

7月 200日ぶりに再開したのとじま水族館

8月 七尾市の石崎奉燈祭(右)

著者は、この言葉を避難所で何度も、何度も聞いた。我慢ばかりで窮屈なのに、すごく不自由で、この先に不安が募るのに、自分よりも周りを気遣って「なんとんない」。奥ゆかしく、控えめに語るそう。

「百年に一度」の記録的な豪雨が襲う

9月 豪雨被害に見舞われた奥能登

10月 震災から299日目の輪島市の集落(右)と元旦以来の通行止めで300日目をむかえた「ツインブリッジ」

「千年に一度」の大地震から8カ月余り、9月下旬のこと。今度は「百年に一度」の記録的な豪雨が能登を襲った。大小の河川が氾濫し、大規模な土砂崩れが相次ぎ、いくつもの集落を孤立させた。

過疎の市町が肩寄せ合う半島は地震と火災と津波にやられ、もがき、人口流出が急加速している。

著者は、そんな今こそ伝えるべく、1人でも多くの人に目を向けてほしいため、筆を執った。北陸中日新聞の朝刊「能登版」に、あの日以来1日も欠かさず掲載を続ける掌編コラムに「半島記者の追想」という新たな書き下ろしも加え、一冊にした。東京新聞の朝刊「特報面」でも掲載されている小さな囲み記事のシリーズだ。

能登半島地震から約1年。被災地の声と景色を伝える一冊『能登半島記(未完)被災記者が記録した300日の肉声と景色』を、この機会に手に取ってみては。

時事通信出版局:https://bookpub.jiji.com

(江崎貴子)

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