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【千葉県市川市】つみき設計施工社の“100人参加型DIY”が「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」受賞!

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受賞リノベーション作品の内観写真

千葉県市川市に本社を置き、DIY参加型リノベーションを専門とする創業15年の工務店・つみき設計施工社は、リノベーション協議会が主催する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」に初エントリーし、総合グランプリを受賞した。

受賞作品『人間は、つくることをやめない』

リノベーション後の外観。施主が自ら図柄を立面図上で描き、家族で塗装を施した

受賞作品『人間は、つくることをやめない』は、1971年に登場した工業化住宅の先駆け「セキスイハイムM1」を舞台とした住宅リノベーション。

施工中のDIY参加の様子

専門家が耐震性や断熱性など建物の基本性能を整えたうえで、住まい手家族と100人を超える仲間が数か月にわたりDIYで内装や家具、仕上げを担う“参加型リノベーション”のプロセスを特徴としている。

M1住宅のシンプルな構成に、家族や友人によるDIYが何層にも重ねられている

プロに任せきりにするのではなく、「ともにつくる」プロセスそのものを住まいづくりの中核に据えたリノベーション。施工中のワークショップや共同作業を通じて、空間は少しずつ手触りのある住まいへと育っていった。

工業化住宅の「余白」への再接続

M1別現場の施工風景・積水化学工業提供/ 内観写真は当該物件の改修前

「セキスイハイムM1」のルームユニットは、本来、住まい手の暮らしによって意味が与えられていく「余白」をもつ箱として構想されていた。これは、標準化・工業化による大量供給と、内部空間の自由を両立しようとした近代建築思想の系譜に連なるものだ。

しかし、プレファブ住宅が普及し、制度化と商品化が進むなかで、工業化住宅は次第に「完成品」として扱われ、住まい手が手を入れにくい存在へと変化していった。

同作は、そうした断絶をふまえ、あらためて住まい手の手によって空間をつくり直す可能性を提示した点において、大きな意義を持つ。

総合グランプリ受賞の理由


同作は、全国から多数の応募が集まった「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」において、一次審査(一般投票)・二次審査(選考委員による審査)を経て、最終的に総合グランプリに選出された。

同作は、単なるDIYリノベーションの枠にとどまらず、完成品として捉えられがちだった工業化住宅に、住まい手が再び関与し、意味と感情を与えていくもの。日本の住宅生産の歴史と思想を問い直す試みである点が高く評価された。

審査員の講評のなかには「M1は建築家・大野勝彦がルームユニットを『無目的な箱』と呼んだように、住まい手の創造性によって自由に意味が与えられる器として構想されていた。本作は、その理念を現代において住まい手の側へと取り戻す象徴的な試みである。

家族と100人以上の仲間が数か月にわたってDIYで空間を仕上げていくプロセスは、箱に新たな意味と感情を与える創造的行為であり、実に楽しそうな写真群は、まるで『家が笑っている』ようである」という部分があり、同作の意義を称えている。

DIYがもたらす住環境づくりの可能性

DIYによる空間づくりは、単なるコスト調整や自己表現ではなく、住まいに意味や感情を与える創造的な行為。つみき設計施工社は、建築費の高騰や職人不足、住宅のファストな商品化が進む現代において、住まい手が再び主体的に関わる参加型リノベーションの価値は、今後さらに高まっていくと考えている。

審査員からは、「本作のグランプリ受賞が、DIY復権のきっかけになることを願う」というコメントも寄せられたそう。

同社は、2010年より参加型リノベーション専門の工務店として創業し、同領域の先駆者として取り組みを続けてきた。今後も参加型リノベーションの実践を続けるとともに、プレイヤーを全国に増やすことをミッションに掲げている。

これからの住環境づくりの可能性を広げられそうな参加型リノベーションを実践するつみき設計施工社に注目したい。

「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」受賞作品一覧:https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html
つみき設計施工社 HP:https://tsumiki.main.jp

(Higuchi)

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