沼津における観光エリアと地域商店街をつなぐスクリーン連携~手書き地図推進委員会 セミナーレポート~
日本各地の土地固有の面白さやユニークさを発見してもらうことを目的として設立された手書き地図推進委員会は、6月11日(水)~13日(金)に幕張メッセにて行われた「デジタルサイネージジャパン2014」において、沼津での実験調査の内容をもとにした「観光エリアと地域商店街をつなぐスクリーン連携」に関するパネルディスカッションを行いました。会場は立ち見が出るほどの満員となりました。
手書き地図推進委員会とは
手書き地図推進委員会は、全国に埋もれてしまっている作者の愛が感じられる「手書き地図」を紹介し、多くの人に知ってもらうことで日本各地の土地固有の面白さやユニークさを発見してもらうことを目的として設立されました。
ゆくゆくは、「手書き地図」をWeb上で提供できるようにし、手書き地図のあたたかさと、正しい位置情報によるナビゲーションというアナログとデジタルの良いところの融合を実現させるべく活動しています。
実証実験で判明した3つの課題
本セミナーでは、デジタルサイネージの視点、沼津市の視点、手書き地図の視点から実施した「街歩きに関する実験調査」について、それぞれの視点からパネルディスカッションを行いました。
デジタルサイネージの課題としては、どのようなコンテンツでユーザーとコミュニケーションを設計するのかについて議論を交わしました。デジタルサイネージを運用する上で最も重要となる議題に、登壇者らが真剣な議論を展開し、参加者もそのディスカッションに聞き入っていました。
沼津市の課題についての議論では、地域に根差した商店街の課題が浮き彫りになりました。一番の観光スポット・沼津港にはお客さんが立ち寄るが、商店街を素通りしてしまうという来街者の導線が分断されてしまっている現状の打開策が議論されました。
最後に手書き地図の課題では、手書き地図というコンテンツが来街者にどのような影響を与えられるのか、といったコンテンツパワーに関する議論となりました。
デジタルサイネージと親和性が高い持続可能なコンテンツとしての手書き地図
このディスカッションの中で再発見されたのは、手書き地図という人のぬくもりのこもったコンテンツが、様々な視点で街を紹介でき、地元の皆さんと来街者をつなぐ「パスポート/免罪符」の役割を果たすということでした。地元愛のたくさん詰まったオリジナリティあふれる地図を書くことができたり、地元の人とも会話が弾むといった部分において、手書き地図の有効性が実証される結果となりました。
今後も手書き地図推進委員会は、手書き地図コンテンツを活用した地域活性化や町おこしなどに力を入れてまいります。
パネルディスカッション登壇者
【スピーカー】
■跡部 徹
株式会社空気読み 代表取締役メディアコンセプター/自由大学「脱藩学」教授
宮城県黒川郡大郷町出身。株式会社リクルートで「カーセンサー」「赤すぐシリーズ」編集長を経て独立。新たな視点を提供することによりユーザーの行動を変え、事業に寄与できるメディアのコンセプト設計・新規事業の立ち上げ支援を行っている。 会社・個人共に、テーマは「価値があるのに、認められてないものを紹介する」こと。手書き地図には、書き手が偏愛する「価値があるのに、認められてないもの」が詰まっているメディアとして注目している。
■大内 征
loca-rise production 代表/ローカルナビゲーター
宮城県仙台市出身。プロモーション支援企業、マーケティングベンチャーを経て独立。事業立案やコンテンツプロデュースの経験をもとに「アウトドアとローカル」を中心とした学びと遊びの企画、地域体験などの場作り、コミュニティ主宰・運営を行っている。IID自由大学で「東京・日帰り登山ライフ」キュレーター、「東北復興学」教授、「キャンプin仙台」リーダー。個人で活動する現在、「バランスよりカタヨリ」をテーマに地域コンテンツの在り方を模索し、中でも『手書き地図』がもつ属人的で偏愛的な面白さについて考察を重ねている。
■小松 浩二
沼津ジャーナル編集長
REFS(青果店)代表 沼津駅周辺商店街理事
■原 将史
沼津市役所 観光交流課企画係 係長
デジタルサイネージジャパンとは
デジタルサイネージジャパンとは、映像とネットワークによる次世代広告プラットフォーム「デジタルサイネージ」にフォーカスした国内唯一の専門イベントです。
場所と時間を指定することでより効果的な販促、広告、情報発信などが可能なデジタルサイネージの最新製品群を、様々なシーンで実際に利用されている「導入事例」を交えながら、出展各社が披露しました。
2013年の実績は来場者数131,984 人、出展社数388社で、2014年も多くの来場者・出展社を迎えての開催となりました。