発災48時間以内に「人間らしく過ごせる避難所」を立ち上げる4日間。避難所運営を支えるITプラットフォーム概念実証(PoC)も同時実施。自治体・企業・災害支援団体など計37機関が結集

昨年度の広域支援隊実証実験の様子
避難所統合運用プラットフォームを開発・運営する株式会社シェルターワン(本社:東京都江東区/代表取締役:児島 功)は、熊本市が主催する「熊本地震10年事業 TKB48避難所訓練」の企画・運営を担い、2026年5月15日(金)から18日(月)までの4日間、アクアドームくまもと(熊本市南区)にて避難所の資機材輸送・設営・運営・撤収の一連の実動訓練を実施します。本訓練は、シェルターワンが2025年3月以降に全国4地域で重ねてきた実証実験を経て、自治体主催の実動訓練として位置づけられる第5回目の取り組みです。
発災から48時間以内にトイレ(T)、キッチン(K)、ベッド(B)及びそれらを接続するインフラの整った避難所を立ち上げる「TKB48」運用モデルを、自治体の枠を超えた広域支援隊によって実装し、避難者・支援者の双方が「人間らしく過ごせる場」を成立させる仕組みを検証します。
▍ 本訓練のポイント
- 発災48時間以内に「TKB(トイレ・キッチン・ベッド)」を備えた避難所を立ち上げ、避難生活に伴う心身の負担を軽減し災害関連死を防ぐ運用モデルを検証する。
- 九州の複数自治体から、トイレカー・キッチンカー・居住用シェルター・電源・生活用水・通信などの資機材を熊本港に集約し、輸送→荷下ろし→設営→運営→撤収まで一連の動きを実装する。
- シェルターワンは2025年に長野県諏訪市・伊那市(3月)、佐賀県伊万里市・唐津市(10月)、神奈川県葉山町(11月)、長野県松本市・伊那市(12月)で計4回の実証実験を実施。本訓練は自治体主催の実動訓練として位置づけられる第5回目で、検証フェーズから社会実装フェーズへの転換点となる。
- 主催:熊本市/企画・運営:株式会社シェルターワン/アドバイザー:一般社団法人 避難所・避難生活学会(代表理事:水谷嘉浩)。本訓練において訓練設計の中核を共に担う。
- 自治体・災害支援団体・民間企業など計37機関(協力企業・団体、主催を含む)が参画する、シェルターワンのマネジメントのもと、過去最大規模の統合オペレーション体制を編成する。
- 過去4回の実証実験との大きな違いは、避難所運営を支えるITプラットフォーム「S.O.M.(Shelter Operation Management)システム」の概念実証(PoC)を実動訓練と一体で行う点にある。進捗管理・物資輸送追跡・燃料/水の残量管理・リアルタイム映像の4機能を統合ダッシュボードに集約し、本部・現場・自治体が同じ事実に基づいて判断できる「データと共有」型の運用基盤を検証する。
■ 1. 背景:なぜいま「広域支援隊モデル」なのか
日本の避難所では、発災から数日間にわたり「冷たい食事しかない」「ベッドがなく床に寝るしかない」「トイレが衛生的でない」といった状況が依然として繰り返されています。シェルターワンは、これは「モノの不足」ではなく、自治体ごとに分断された運用構造のもとで「広域で動かす訓練が行われていない」ことに本質があると捉えています。
この問題意識のもと、シェルターワンはイタリアの市民保護(Protezione Civile)システムの中核をなす広域支援部隊「コロンナ・モービレ」を参照モデルとして、日本における広域支援隊の社会実装を目指しています。具体的には、(1) 標準化された資機材を広域で共同保有し、(2) 統合運用手順のもと共同訓練を重ね、(3) 発災時には市町村の枠を超えて48時間以内に一体展開する、という三層の仕組みです。
本訓練は、能登半島地震や熊本地震をはじめとする近年の災害で痛感された「市町村単独では立ち上がりが遅れる長期避難生活の基盤整備」を、広域連携のもとで成立させるための実装ステップに位置づけられます。
■ 2. シェルターワンが目指す姿:避難所システムを「社会的共通資本」へ
株式会社シェルターワンは、「災害関連死ゼロ」を企業ミッションに掲げ、被災者と支援者の双方が人間としての尊厳と健康を保てる避難所環境を、社会の標準として実装することを目指す社会的企業です。
事業構造は、現場運営手法の標準化・ユニット化・モビリティ化(SUM基準)をベースに、(1) TKB48避難所の広域展開モデル、(2) 資機材調達と現場運営をデジタルで統合するプラットフォーム「S.O.M.(Shelter Operation Management)」、の二層で構成されます。これらを通じてシェルターワンは、避難所を「市町村が単独で開設する施設」から「広域で運用される社会インフラ」へと再定義し、宇沢弘文の社会的共通資本論に位置づけ直す取り組みを進めています。
■ 3. これまでの歩み:4回の実証実験と、5回目となる本訓練の位置づけ
シェルターワンは2025年に全国4地域で実証実験を重ねてきました。回答者のほぼ全員が「広域支援を伴うTKB避難所は有効」と評価し、ハード面の実現可能性は確認済みです。本訓練はその知見を踏まえ、自治体主催の実動訓練として、災害支援団体との連携・要配慮者対応・市民参加・夜間運用など、より総合的な検証を行うフェーズに入ります。
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/183166/table/1_1_ae45b05f1faa52008ab0eb44697f573c.jpg?v=202605140945 ]
佐賀県での第2回実証実験では、参加者89名のうち99%(「非常に有効」79%・「有効」20%)が「ハードとソフト一体の広域支援によるイタリア式避難所」を「有効」と回答しており、特に医療・福祉分野での効果が高く評価されました。本熊本訓練では、これら4回の実証で蓄積した知見を統合し、自治体主催の実動オペレーションとして総合的に検証します。
■ 4. 熊本訓練の概要
● 想定シナリオ
令和8年(2026年)5月15日、熊本市直下を震源とする立田山断層地震が発生し、市内で震度6強~7の激しい揺れを観測。広域停電・断水・道路損傷により在宅避難が困難となった市民が指定避難所へ急増する、という想定です。熊本市はシェルターワンと連携し、アクアドームくまもとを「広域支援受入拠点避難所」として開設、熊本港を資機材集約拠点として機能させます。発災後48時間以内に衛生・食事・就寝環境を整え、要配慮者対応・物資配分・情報共有まで含めた統合運用体制を立ち上げます。
● 日程
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/183166/table/1_2_4ca1d3f58f230ac92dba52dd2c857bd4.jpg?v=202605140945 ]
● 実施場所
避難所設営: アクアドームくまもと 多目的広場(熊本市南区荒尾2丁目1-1)
資機材集積: 熊本港臨時駐車場(熊本市西区新港1丁目)
● 参加人数
宿泊訓練参加者: 約70名(うち小学生およびその保護者 約41名、運営チーム・災害支援団体 約29名)
実動訓練参加者: 100~120名想定
見学参加者: 200名以上想定

資機材集積場所から訓練地までのトラック隊列の経路

受付、食堂テント(5.4m×9.0m×3張、計112席)、居住用シェルター(Φ5.5m×1台、Φ3.4m×10台)、国連仕様テント×6張、トイレカー、コンテナシャワー、診療用コンテナ、キッチンカー、給電車輛、循環式洗濯機、浄水装置、Starlink等を配した76m×40mの統合運用レイアウト
■ 5. 訓練の見どころ
(1) 「48時間以内」のタイムラインを実装
5月15日朝の発災(想定)から30時間後の5月16日15時に開会式を設定。それまでに熊本港での資機材集積、コンボイ編成、訓練地への一斉搬入、多職種の職能人材によるTKB避難所の立ち上げを実施します。発災から48時間以内に「人間らしく生活できる場」が成立する様子をご覧いただけます。
(2) 子どもと家族の宿泊訓練
熊本地震の記憶の風化防止と次世代への防災教育を目的に、小学生とその保護者を含む市民が2日間にわたり避難所で宿泊する、シェルターワンとして初の試みを実施します。段ボールベッドの組み立てから、温かい食事、シャワー、就寝までの一連の生活を体験いただきます。
(3) 災害支援団体との連携による医療・福祉訓練
5月17日(日)には、日本赤十字社熊本県支部、特定非営利活動法人ピースウインズ・ジャパン、熊本県災害派遣福祉チーム、新潟大・宝来メデックチームによる医療福祉訓練(スクリーニング・DVT検診・要配慮者対応)、認定NPO法人日本レスキュー協会によるレスキュー犬デモンストレーションを実施します。
(4) 子ども向けスタンプラリー型体験訓練
ケーブル接続・電源供給体験、心肺蘇生・包帯などの医療体験、重機見学・試乗体験、シェルター組立体験、災害用電話体験など、各分野のプロが直接指導する体験イベントをスタンプラリー形式で実施します。
(5) 熊本大西市長×福岡高島市長×水谷氏トークセッション
5月17日(日)11:00~11:45、食堂会場にて熊本市 大西一史市長、福岡市 高島宗一郎市長、避難所・避難生活学会 水谷嘉浩 代表理事によるトークセッションを実施します(出演者は変更される場合あり)。
(6) 避難所運営ITプラットフォーム「S.O.M.」の初の本格実証
避難所の設営・運営に必要なタスク進捗、物資輸送、燃料/水の残量、現場映像を一つの統合ダッシュボードに集約するプラットフォーム「S.O.M.(Shelter Operation Management)システム」PoCを、本訓練と一体で実施します。輸送ドライバー向けアプリ「SOMトラッカー」、現場マネージャー向けタスク管理モバイルアプリ、本部用Web管理画面が同じデータ基盤を共有し、「勘と経験」から「データと共有」へ ──避難所運営を再現可能なオペレーションに変える基盤の有効性を、訓練データとして検証します。
■ 6. 連携体制:37機関による統合オペレーション
● 主催・企画・アドバイザー
・主催: 熊本市
・企画・運営: 株式会社シェルターワン
・アドバイザー: 一般社団法人 避難所・避難生活学会 代表理事 水谷嘉浩氏
※同学会の知見をもとに、医療・福祉専門職の視点を織り込んだ訓練設計を共に行っています。
● 参加自治体
熊本市(主催)、福岡市、九州市長会
● 災害支援団体
日本赤十字社熊本県支部、特定非営利活動法人ピースウインズ・ジャパン、認定NPO法人日本レスキュー協会、特定非営利活動法人KVOAD(くまもと災害ボランティア団体ネットワーク)、熊本県キッチンカー協会、一般社団法人 日本寝具寝装品協会
● 協力企業(資機材・サービス提供)
あいおいニッセイ同和損保、株式会社アクティオ、有限会社エス・エー・エス・シー・ジャパン、NTT西日本株式会社、株式会社NTT Landscape、協同組合熊本清掃公社、サンコー・コミュニケーションズ株式会社、サンスター株式会社、SHARP株式会社、清水建設株式会社、株式会社シェアダイン、ジャパンセキュリティーサービス株式会社、Jパックス株式会社、ZEROCO株式会社、セイノーホールディングス株式会社、株式会社タイミー、株式会社タニモト、株式会社TCL、西川株式会社、株式会社ハレコンテナ、株式会社フィッツコーポレーション、株式会社フジムラ、宝来メデック株式会社、株式会社明電舎、ユーティリティソリューションズ株式会社、株式会社YUASA、株式会社ワン・ステップ、WASHハウス株式会社(計28企業)
── 自治体・支援団体・企業を合わせ、シェルターワンと熊本市を含む計37機関が、ひとつの統合オペレーション体制として現場に立ちます。
■ 7. 取材のご案内
5月16日(土)および17日(日)の訓練の模様を報道関係者の皆様に公開いたします。資機材の輸送・設営、TKB48避難所での生活訓練、医療・福祉訓練、市長トークセッションなど、各局面の取材機会を用意しております。
メディア用駐車場・取材動線をアクアドームくまもと敷地内に確保しておりますので、事前に担当までご連絡ください。
■ 8. 株式会社シェルターワンについて
株式会社シェルターワンは、「災害関連死ゼロ」を企業ミッションに掲げ、被災者と支援者の双方が人間として尊厳をもって過ごせる避難所環境の実現を目指す社会的企業です。イタリアの市民保護モデル「コロンナ・モービレ」を参照点としながら、日本における広域支援隊モデルの社会実装を進めています。
事業の中核は、(1) TKB48避難所運用の標準化・ユニット化・機動力化(SUM基準)、(2) 広域での資機材調達と現場運営をデジタルで統合するプラットフォーム「S.O.M.(Shelter Operation Management)」の運用、(3) 自治体・企業・災害支援団体・専門職能団体を束ねた広域連携の仕組みづくり、です。
中長期的には、避難所システムを「社会的共通資本」として制度化し、広域共同事務化・基金化・PPP/PFIによる持続可能な財源モデルのもとで、世代を超えて維持される社会インフラへと位置づけ直すことを目指しています。
シェルターワンは、清水建設株式会社のコーポレートベンチャリング制度のもと2025年3月に設立され、Antler社からのプレシードラウンドを経て、避難所システムの社会実装に向けた事業基盤を整えてきました。
▼ 会社概要
[表3: https://prtimes.jp/data/corp/183166/table/1_3_07879c2e7a86bcd47e675e361f1369f1.jpg?v=202605140945 ]
■ 9. 関連リンク・お問い合わせ
● 関連リンク
・熊本地震10年事業 TKB48避難所訓練 イベントページ
・株式会社シェルターワン コーポレートサイト