- 報告書では、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)における優先課題を浮き彫りに
- 業界リーダーが東京で新協定「Tokyo Accord」を交わし、6Gへの共通志向を表明
GSMAは、本日開催された「Digital Nation Summit Tokyo(デジタル・ネーション・サミット東京)」において、最新の報告書「The Digital Nations 2026:Accelerating the digital leap in Japan(2026年デジタル国家──日本におけるデジタル・リープの加速)」を発表しました。日本は世界トップクラスの技術力をグローバルなデジタルリーダーシップへと転換するため、大胆かつ連携した行動を取る必要があることを示しました。
本報告書では、日本は次世代通信、先端技術、応用イノベーションの分野において、依然として世界をリードしている一方で、根強い構造的課題が、生産性の向上および経済全体へのデジタル効果を制限していることが明らかになりました。こうした制約を解消することは、日本が「慎重な技術導入国」から、「自信ある国際標準の形成者」への転換に極めて重要です。
こうしたより大きなビジョンを反映し、本サミットでは、日本の通信事業者であるKDDI株式会社、株式会社NTTドコモ、楽天モバイル株式会社、ソフトバンク株式会社に加え、アジア太平洋地域の3つの6Gアライアンス、フィリピンの大手通信会社 グローブ・テレコム、韓国の大手通信会社 LG U+とが新協定「Tokyo Accord」に署名し、6G時代の形成に向けた共通のコミットメントを示しました。これは、先進的な通信事業者とアライアンスを結集し、オープンで相互運用性があり、信頼性の高いデジタルエコシステムの推進に向けた地域的、そしてグローバルな連携の広がりを意味します。さらに、本報告書が提言する協調的な取り組みの必要性を裏付けるものであり、今後のデジタル・ネーション・サミットを通じて、さらなる事業者の参加が見込まれています。
さらに、2026年が重要な転換点であると報告書で指摘しています。経済産業省が指摘する「2025年の崖」に関するリスクについては、的を絞った施策により最悪の事態は回避されつつあるものの、より根深い構造的課題は依然として残っています。生産性の停滞、デジタルサービス赤字の拡大、研究成果の事業化不足といった構造問題が、依然として日本の中長期的な競争力を制約しています。
また、5Gや6Gをめぐる国際議論が加速する中、日本が周波数政策、研究開発投資、国際標準化活動をより広範なデジタル戦略と整合させることで、主導的な役割を果たす機会があることを報告書では指摘しています。次世代通信をイノベーション、生産性、レジリエンスを支える基盤として位置づけることが、長期的なグローバルリーダーシップの確立において中核となります。
早急な対応が求められる重点分野
本報告書では、政府および産業界が連携して早急に取り組むべき3つの分野を特定しています。
●5G展開の完遂
日本は5Gの早期導入国であった一方で、5Gスタンドアローン(SA)の全国展開には依然としてばらつきがあります。高度な機能の実現と将来の6G進化の基盤構築に向けて、展開の加速が不可欠です。
●グレイ・デジタル・デバイドの解消
日本では65歳以上が人口の29%を占めるなど、デジタル・インクルージョンにおいて大きな課題に直面しています。インターネット利用率は70~79歳で59.6%、80歳以上では25.6%にまで低下しており、よりアクセスしやすく人間中心のデジタルサービスの必要性が浮き彫りになっています。モバイル事業者は、デジタルスキル向上プログラムを通じて重要な役割を果たしており、「マイナアプリ」やデジタル支援施策などの政府の取り組みと連携しています。
●デジタル・トラストの強化
2025年には詐欺や不正による被害額が3,241億円(約21億ドル)に達し、件数も過去最多となりました。これは、セキュア・バイ・デザインやトラスト・バイ・デザインといったアプローチを含め、国内の安全対策の強化と国際的な連携の深化が必要であることを示しています。
GSMAアジア太平洋地域責任者のジュリアン・ゴーマンは次のように述べています。
「日本は、先進的な通信インフラ、優れた研究力、強固なデータガバナンスなど、デジタル領域のリーダーシップに必要な多くの基盤を備えています。現在の課題は、『実行』にあります。今週開催されるデジタル・ネーション・サミットは、政策立案者および業界リーダーが連携し、技術的優位性を実際の経済的・社会的成果へと転換するための行動を一致させる重要な機会となります。日本は、自国の比較優位を活かし、国際協力を一層深化させることで、デジタル国家において自信あるグローバルな標準の形成者としての地位を確立することができます」
本報告書は、インフラ、イノベーション、データガバナンス、セキュリティ、人材といった分野において、日本が強固なデジタル基盤を有する一方で、依然として課題が残っていることを指摘しています。その上で、日本の次なるデジタル発展段階に向けて、以下の3つの戦略的方向性を提示しています。
1. 次世代通信および先端技術における比較優位性を強化
2. 国際的なベストプラクティスを活用し、導入と信頼構築を加速
3. AI、サイバーセキュリティ、半導体、次世代通信における国際標準形成に向けた国際協力を深化
Digital Nation Summit Tokyo(デジタル・ネーション・サミット東京)について
GSMAのデジタル・ネーション・サミット東京は、政府高官、業界リーダー、エコシステムの関係者を招集し、国家のデジタル戦略をグローバルなベストプラクティスや新たに形成されつつある国際的な規範とどのように整合させるかについて議論する場です。
サミットでは、GSMA事務総長ヴィヴェック・バドリナスによる基調講演をはじめ、主要な戦略分野に関する議論がGSMA幹部により展開されます。ハカン・ドゥルスンは次世代ネットワーク形成における先進通信とAIの役割について、ジャネット・ホワイトはActive Cyber Defence(ACD)やACASTといった枠組みを通じたデジタル・トラストと業界横断的連携について、ララ・デュワーはGSMAが推進するD&I関連のキャンペーン「#ChangeTheFace」の推進について、ジョン・ジュスティは喫緊のグローバル政策課題について、それぞれ議論をリードします。
これらの議論は、安全で包摂的かつ国際的に整合したデジタルエコシステムの推進と、日本が将来の通信およびデジタル協力の形成において果たす役割の強化という、サミットの焦点を強調するものです。
「Digital Nations 2026:Accelerating the digital leap in Japan(2026年デジタル国家──日本におけるデジタル・リープの加速)」レポートは、こちらからダウンロードいただけます。
GSMA (Global System for Mobile Communications Association)について
GSMAは、世界のモバイルエコシステムを統合し、健全なビジネス環境と社会的変革を支えるイノベーションを創出・推進・実現する国際的組織です。GSMAのビジョンは、人々・産業・社会が繁栄するために、コネクティビティの力を最大限に引き出すことにあります。モバイル通信事業者および関連産業の組織を代表し、「Connectivity for Good(社会的価値のための接続性)」、「Industry Services and Solutions(産業サービスとソリューション)」、「Outreach(連携・普及活動)」の3つの柱に基づいて活動しています。取り組みには、政策推進、社会課題の解決、通信技術と相互運用性の基盤構築、そしてMWC(Mobile World Congress)およびM360シリーズといった世界最大規模のモバイル業界イベントを通じたエコシステムの交流促進が含まれます。