専門家(熟達者)の知を学習したAI「熟達者AI」との対話
誰もが専門家の知にアクセスし、自らの問いを深めることができるAIサービス「熟達者AI」を開発・運営する株式会社i.school Technologies(本社:東京都文京区、代表取締役:堀井秀之)は、当社プロジェクトに協力する社会学者・吉見俊哉氏(東京大学名誉教授・國学院大学教授)の新著『自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う』(集英社新書)が、2025年12月17日(水)に発売されたことをお知らせいたします。

生成AI時代に問い直す|人間の知性とは何か
生成AIの急速な進化により、人間の知性や思考のあり方が問い直されつつあります。そんな中、社会学者・吉見俊哉氏は、自身の全著作・論文・未公開のメモなどをAIに学習させた、"AI吉見くん"を制作しました。
本書では、吉見氏本人と"AI吉見くん" が対話を行うユニークな形式を通して、「社会学」「大学」「日本の都市」「世界情勢」など、吉見氏がこれまで長年にわたり探究してきた多様なテーマを掘り下げます。
AIによる情報処理や特性を理解し直すと同時に、人間固有の問いの立て方や思考の揺らぎと向き合いながら、人間の知識とは何か、技術と知性はいかに関係を結び直すのか、教育や未来社会はどこへ向かうのかといった根源的な問いに思索を加えていく一冊です。
「熟達者AI」と吉見俊哉氏の取り組み
"AI吉見くん" は、「熟達者AI」のサービスにおいて提供される、吉見俊哉氏の知見を学習したAIです。
「熟達者AI」とは、特定分野に精通した専門家(熟達者)の経験や知見を学習し、独自の回答を提供することで、ユーザーの知的好奇心や、探究を支援するツールです。吉見氏は、本プロジェクトの初期段階から制作に深く関わり、"AI吉見くん" の構築を共に進めてきました。
本書で描かれる「AIを信じるな AIと戦え」というメッセージは、熟達者AIが掲げる「専門家に質問しながら、答えを求めるのではなく、自ら問いを立てて探究を行う」という学びのあり方を、著者自らが極限まで突き詰めた実践の記録とも言えます。
「熟達者AI」について
i.school Technologiesが提供する「熟達者AI」は、インターネット上の断片的な情報ではなく、熟達者が長年培ってきた書籍、未公開メモ、独占インタビューなど、熟達者ご本人の承諾を得た深い知を学習の源泉としています。
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=SVD_ZHO9YaQ ]
2025年現在、協力している熟達者の数は増え続けており、「熟達者AI」を通じてユーザーが触れられる専門領域は多岐に渡ります。今後も熟達者の数を増やしながら、専門領域を広げてゆく予定です。
熟達者AIの利用者に向けたメッセージ
吉見俊哉
1957年東京都生まれ。東京大学名誉教授、國学院大学観光まちづくり学部教授。東京大学副学長、同大学大学院情報学環教授などを歴任。社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。『都市のドラマトゥルギー』『東京裏返し』『敗者としての東京』など著作多数。i.school Technologiesが推進する「熟達者AI」プロジェクトにおいて、社会学領域の熟達者として協力。
私はこれまで講義を通じて、学生たちに「吉見俊哉を叩きのめせ(アタック・ミー)」と説いてきました。「熟達者AI」においても、AIから答えを教わろうとするのではなく、むしろAIを問い詰め、その論理の隙間を突いてほしい。
言葉を武器に論戦を挑むとき、このAIはあなたの知性を鍛える最高のトレーナーとなります。対話を通じて自らの思考を研ぎ澄ませていく、そのプロセス自体に学問の醍醐味があるのです。
堀井秀之
株式会社i.school Technologies 代表取締役・i.school エグゼクティブ・ディレクター・(一社)日本社会イノベーションセンター(JSIC)代表理事、東京大学名誉教授。 2009年よりイノベーション教育プログラム、i.schoolを運営し、新しい製品、サービス等のアイディアを生み出すことのできる人材を育成。2016年に一般社団法人日本社会イノベーションセンター(JSIC)を設立。政府、企業とi.schoolの学生・修了生が協働して社会イノベーションを推進する活動を通じて、実践的な教育機会を提供することを目指している。著書『問題解決のための社会技術』、『社会技術論:問題解決のデザイン』、『イノベーションを生むワークショップの教科書』など。
熟達者AIの目的は、単なる知識の伝達ではありません。ネット上の膨大な情報に埋もれがちな、熟達者ならではの深い理念や価値基準に触れ、そこから自分だけの問いを育てることにあります。高校生から社会人まで、自らの「なぜ?」を大切にするすべての人に、この新しい学びの形が届くことを願っています。
書誌情報
書名:『自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う』
著者:吉見俊哉
発売日:2025年12月17日
定価:1,210円(税込)
レーベル:集英社新書(株式会社集英社)
株式会社i.school Technologiesについて
東京大学のイノベーション教育プログラム i.school の知見を基盤に設立。"知をもっと身近に" を掲げ、専門家の経験知をデジタル化することで、個人の創造性を引き出す教育インフラの構築を目指しています。
「熟達者AI」の公式HP
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