「原始の目で、現代を見つめ直す。」イグアナアイのワークショップ
人間が本来、人間らしく幸せに暮らせる環境や社会を考えるきっかけをもたらす事。それがイグアナアイの提案です。 By Mineaki Saito, Producer
この度、イグアナアイの感性を共有する場として今年4月に始まったワークショップ、「アトリエ・イグアナアイ」の第2回が6月15日に「And the fashion as a new game~そもそもファッションとは~」と題して開催されました。齋藤峰明と登壇したのは、長年、パリと東京を拠点にモードの評論を行なってきたファッション・ジャーナリストの 平川武治氏。ファッションを「デザインであり、産業であり、消費財である。いかにその時代のリアリティーと社会にコミットするか」と定義する平川氏と共に、近代においてファッションがどう進化、成熟し、時代時代のリアリティーの中でどういった社会的意義を持ってきたのか?またその主役プレーヤーであるメゾンのデザイナーたちの存在意義とは?長らくファッション界を見続けて来た平川氏だからこその、ファッションに対する思いと問いかけと共に、現代における自らの在り方をじっくりと考える場になりました。

今、なぜファッションが面白くなくなったのか?
かつてファッションは、文化力が作っていた。パリのモードにおける「ファムオブジェ(オブジェとしての女性)」というコンセプトは、その時代時代に生き生きとしている女性たちがターゲット。女性の社会進出が始まった60年代にイヴ・サンローランがプレタポルタを始め、70年代初頭のウーマンレボリューションの頃には、日本からヨウジヤマモトや川久保怜がパリに向かった。90年代はトランスジェンダーになり、と時代と文化がファッションを作ってきたが、グローバリズムに伴うファストファッションの台頭で、社会の仕組みが否応なく変化。とりわけ日本ではモードが儲けの手段になってしまった。文化力で服を作らなくなり、アーカイヴを俯瞰して今っぽく焼き直す。(デザイナーではなく)ファッションディレクターが求められる時代。本来デザインとは、グループの仕事。生地屋と工場を自分の目で見て選べなければ、本当のデザインはできない。
今の時代にしかできない新しさが、ファッションの生命力。
かつては「カウンターカルチャーのエネルギーがあり、だからクリエイションがあった。ヨウジヤマモトやコムデギャルソンの頃はアイコンがいた。」「今は、作り手が文化度のある生活をしていない」と齋藤。今をどうリアルに生き、何を残し、何が大事かを見極める文化度を個人のレベルで持たなければいけないのではないか。ディレクションだけできても、ブランドを輝かせることはできない。PCを使えば「価値ある少数派」にもなれるが、どんな価値を自分が持つかが重要。最後は自己文化度をどう高めるか。自分なりの切り口やフォーカスを持つこと。ではそんな文化度を持つために必要なものは?「経験と旅が大事」と平川氏。「自分の目で確認し、探し出す力があれば。」そして、そんな文化力の中で”minimum luxury”を探したい。かつてのように”something new”という価値を見つけるのは至難の業。せめてもの”just new”があればそれが”minimum luxury“になれるのではないか。ヴァーチャルではなく、リアルなコミュニケーションから物事の根幹を見つめたい。現代人の生き方を問う議論は続きます。
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イグアナアイ青山本店
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「アトリエ・イグアナアイ」では、ブランドコンセプトに関連するテーマ毎に2か月に一度、各分野のエキスパートを講師に迎え講演やディスカッションを行なっています。複雑な社会に生きる現代人が、本来の自分に出会うきっかけを掴んで頂ける場になればと考えています。詳細は、イグアナアイのフェイスブック(https://www.facebook.com/IguaneyeJapan/?fref=ts)をご覧ください。