国に対して、気候変動対策の法的責任を問う日本で初めての訴訟である「気候正義訴訟」は、第二次提訴を目前に控え「明日を生きるための若者気候訴訟」とのコラボイベントを開催しました。気候正義訴訟は、2026年3月1日まで一次原告と合わせて合計1000名以上を目標に第二次提訴の原告を募集しています。気候変動に危機感や不安を感じている方であればどなたでも原告として参加いただけます。
◆参加方法の詳細:https://climate-j.com/


国内初の2つの公共訴訟が連帯
地球規模で進行する気候変動の影響で、日本をはじめ世界各地で猛暑や異常気象が増加し、災害や食糧危機、物価高など、生命や健康、生活・経済などあらゆる面が脅かされるなか、企業だけでなく国が中心となって対策を講じる必要性が高まっています。本イベントでは、2024年8月に全国の10代から20代の若者16人が、日本の大手電力事業者10社を相手取り、科学的根拠に基づくCO2排出削減を求めて名古屋地裁に提起した、日本初の若者主導による気候訴訟である「明日を生きるための若者気候訴訟」と、2025年12月に気候変動対策の不十分さが「生存権」や「健康に生きる権利」などの人権侵害にあたるとして、国を相手に国家賠償を請求するために提訴された「気候正義訴訟」がコラボ。
気候危機に対する国や企業の責任、そして市民一人ひとりが当事者として声を上げる必要性について議論するために実施。両訴訟の概要や日本および海外における気候変動関連訴訟の動向について解説するとともに、原告や弁護団、環境団体関係者らによるトークセッションを実施しました。
当日の様子
イベントの冒頭では、若者気候訴訟と気候正義訴訟、2つの弁護団に所属する福田氏より、シロクマ裁判などこれまで日本国内で起きた市民活動の流れを汲む訴訟の事例について説明がありました。


次に、気候正義訴訟の弁護団の吉田弁護士より、世界の気候変動訴訟について解説。将来世代にツケを回す対応が違法になったドイツや、10代の若者19名が提訴し国の義務を認めた韓国の若者気候訴訟など、世界各国における気候変動対策における国の責任について説明しました。
「明日を生きる若者気候訴訟」のパートでは、弁護団の半田弁護士より裁判の概要の説明がありました。本訴訟は、火力発電によるCO2年間排出量の削減を求めたものです。国際合意において、求められている水準での削減を履行しているかを問う訴訟で、若者世代のみが原告となり、民間企業を訴えた国内初の試みとなります。
原告の山本大貴さんと川崎彩子さんからは下記のようなコメントがありました。

「訴訟から1年半が経ち、裁判の難しさを感じています。コロナでステイホームしている高校2年の時に気候変動に取り組む同世代について知り、どうしたら気候変動の対策を進められるか考えていました。気候変動が深刻化していく世界で生きていくことが決まっているという焦りもありますが、果たして気候変動という大きすぎる問題に個人で取り組むことに意味があるのかという疑問も理解できます。自分の中でもそうした色々な思いや葛藤がある中で、0.1歩でも前に進んでいくことができればと思い訴訟を行っています。」
「3年前から実家の北海道で暑さが厳しくなり、室内温度が30℃を超えたのでエアコンを設置しました。そうした中で気候変動が自分の周りや家族といった身近なところでも影響を与え、被害が出ていることを実感しています。」

気候正義訴訟のパートでは、1996年に設立された弁護士による環境NGOである一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)の理事長であり、気候正義訴訟弁護団の代表である島弁護士が概要を説明。「国内で温暖効果ガスの削減目標を定める法律が存在しないこと、排出規制が存在しないこと自体が立法不作為にあたります。気候変動対策を十分に行っていないために現在進行形で、生命・健康、農業など一次産業に携わる方の営業権や財産権、子どもの成長する権利などの平穏生活権(気候享受権)が侵害されています。」とコメントした上で、下記についても説明しました。
・CO2排出量削減は気候変動対策として重要な役割を果たす。部門別のCO2排出量の割合では、家庭部門は4.8%であり、生活者の自助努力ではなく、政策としての対応が必要である。
・日本は国際的な気候変動枠組条約である、京都議定書・パリ協定に参加している。パリ協定の内容を盛り込んだ温暖化対策推進法2条2が国内法として存在しているため、義務が発生する。
・2025年7月に国際司法裁判所(ICJ)が「気候変動に関する国家の義務についての勧告的意見」を発表し、国として気候変動対策に取り組む義務がより求められている状態。
(一部抜粋・要約含む。以降のコメントも同様)
原告の秋山さんと斉藤さんからは下記のようなコメントがありました。
「自分は建設労働者だけど、気候変動によって暑さが厳しくなっても、現場では人権侵害されている認識がありませんでした。2025年の夏に見積上は1日で終わる作業が、4日かかりました。けれど3日分の作業賃は回収できず、猛暑の中で1日2000円くらい飲み物を買うので、その分のコストもかかっています。これからも実体験を通じて、気候変動の被害を話していきたいです。」(秋山さん)
「小学校1年生の子どもを持つ母親です。これまで気候変動についてあまり知らなかったけれど、原告として参加し当事者になることで、気候変動を自分ごととして捉えられるようになりました。」(齋藤さん)

イベント後半のトークセッションでは、グリーンピース・ジャパンの鈴木氏、緑の党グリーンズジャパンの佐藤氏、国際環境NGOであるFoE Japanの吉田氏、350 Japanの伊予田氏、気候正義訴訟の原告である齋藤氏、若者気候訴訟の原告である川崎氏、そして気候正義訴訟弁護団代表の島が登壇。気候変動対策において当事者意識を持つことの重要性について議論し、下記のようなコメントがありました。
「気候変動はだれもが当事者で、夏場に犬の散歩のため4時に起きなければいけないのも気候変動の被害です。」(グリーンピースJapan 鈴木氏)
「どうしても地方自治体・家庭単位の活動はできることが少ないので、ネガティブに捉えられてしまいやすいです。だからこそ、気候変動対策を楽しい、面白い、ポジティブなものであるという印象に変えていきたいと思っています。」(みどりの党/鎌ヶ谷市市議会議員 佐藤氏)
「家庭単位でも節電だけではなく再生エネルギーを取り入れるという選択を増やしていきたいです。」(FoE Japan 吉田氏)
「近年では、メガバンクが気候変動関連に異例の関心の高さを持って意思決定した事例もありました。社会全体が関心を持つことで社会を動かすことができると思います」(350 Japan 伊予田氏)
「夏に子どもたちのプールがなくなってしまいました。気候変動は子供から当たり前に夏を過ごせる権利奪っています。」(気候正義訴訟 原告・齋藤氏)
「気候変動による自分の被害を声に出したり、認識することは難しいことです。被害を訴えるのは大袈裟ではないかと思ってしまうこともあります。だから不安や自分の被害についてしっかりと言葉にできる環境を作っていくことが大事だと思っています。」(若者気候訴訟 原告・川崎氏)
「気候変動は被害者にならない人がいません。しかし、環境問題は非常に強く大きな想像力を必要とします。」(気候正義訴訟 弁護団代表 島弁護士)
3月1日まで二次原告を募集中
一次原告と合わせて合計1000名以上を目標に第二次提訴の原告を募集しています。気候変動に危機感や不安を感じている方であればどなたでも原告として参加いただけます。ご希望の方は、2026年3月1日必着で下記事務局までお申込みください。
◆参加方法の詳細:https://climate-j.com/
気候正義訴訟について

【呼びかけ人】(敬称略)
斎藤幸平(経済思想家)、明日香壽川(環境学者)、鮎川ゆりか(元WWF気候変動問題担当/千葉商科大学名誉教授)、eri(アクティビスト/DEPT)、加藤登紀子(ミュージシャン)、河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)、コムアイ(アーティスト)、志葉玲(ジャーナリスト)、関野吉晴(探検家‘クレイジージャーニー’)、吉岡忍(ノンフィクション作家)
■お問合せ: 気候正義訴訟事務局
東京都中央区築地3-9-10 築地ビル3F アーライツ法律事務所内
TEL:03-6264-1990(担当:事務局白川、弁護士足立)
緊急の場合:090-1102-8691(弁護士島)
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