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公益財団法人交通事故総合分析センター

高速乗合バスの追突・多重事故~長時間運転による居眠りと事故後対応の不備が要因~

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事故調査委員会が再発防止策を提言

事業用自動車の交通事故防止と交通事故時の被害軽減を目的として設置された、国土交通省の外部委託組織である事業用自動車事故調査委員会(委員長:吉田 裕)は、令和5年(2023年)4月17日に三重県三重郡菰野町で発生した大型乗合バスの追突事故に関する調査報告書を議決しましたので、公表いたします。

【本事故について】
■事故概要
令和5年(2023年)4月17日0時12分頃、三重県三重郡菰野町にて発生。新名神高速道路上り線を走行中の大型乗合バスの運転者が、交替運転者との2名乗務にもかかわらず、交替せずに運転を継続し、長時間運転となったため、居眠り運転となり、前方を低速で走行していた大型トラクタに追突する第一事故が発生。第一事故により非常点滅表示灯の操作レバーが破損し、運転者は、非常点滅表示灯が点灯できなかったことに加え、停止表示器材・発炎筒の設置などの危険を防止する措置を怠ったため、第1車両通行帯に停車していた同バスに、後続の大型トラックが衝突する第二事故が発生。なお、当該バスの運転者2名は別の会社から出向してきた運転者であった。(詳細は別紙をご参照ください。)

■事故原因
運行計画と異なる長時間運転が行われていたこと、高速道路上での事故対応が不十分であったこと。

■再発防止策
運行計画に従った運行の励行(決められた時間に運転を交替すること)など適切な運行管理を徹底。高速道路上での事故後の対応に関することなど運転者への指導監督の徹底。また、輸送安全の確保のための風通しの良い職場環境の構築。

~再発防止のための、事業用自動車事故調査委員会からのメッセージ~
- 交替運転者が乗務している場合は、疲労の蓄積を防止するため、運行計画どおりに交替しましょう!
- 高速道路上に停車した場合は、非常点滅表示灯の点灯や停止表示器材・発炎筒を設置して、事故を後方車両に知らせましょう!

本調査報告書は事業用自動車事故調査委員会によって事業用自動車事故及び事故に伴い発生した被害の原因を調査・分析し、事故の防止と被害の軽減に寄与することを目的として作成しており、事故の責任を問うために行われたものではありません。今後も事業用自動車事故調査委員会は、交通事故の少ない社会を実現するために活動を続けてまいります。
大型乗合バスの追突事故
長時間連続運転で居眠り高速道路で多重事故に

当該車両(前面)

事故概要

令和5年4月17日0時12分頃、三重県三重郡菰野町
新名神高速道路上り線を走行中の大型乗合バス(乗客20名)の運転者が、交替運転者との2名乗務にもかかわらず、交替せずに運転を継続し、長時間運転となったため、居眠り運転となり、前方を低速で走行していた大型トラクタに追突する第一事故が発生。
その後、バス運転者は、非常点滅表示灯が点灯できなかったことに加え、停止表示器材や発炎筒の設置を怠ったため、第1車両通行帯に停車していた同バスに、後続の大型トラックが衝突する第二事故が発生。
乗客3名が重傷、乗客14名が軽傷を負い、バス運転者、トラクタ及びトラックの運転者の計3名が軽傷を負った。

原因

1.運行計画によらない運行
- バスの運転者は1回あたりの休憩時間を長く取りたいために、運行表に定められていた途中交代を行わず、長時間の連続運転を行った結果、疲労が蓄積して居眠り運転となり、前方の大型トラクタに気付かず追突した。
- 運行表に定められた交替地点で交替しない運行が常態化しており、さらに事故日まで4日連続の夜間運行と、日曜深夜の交通量が少なく照明もない高速道路での単調な走行が重なり、漫然運転から居眠り運転に至った。


当該車両(後面)

2.高速道路本線上での事故対応が不十分
- 事故発生後、運転者は、直ちに同バスを安全な場所に移動させていないこと、非常点滅表示灯の点灯ができなかったこと、停止表示器材の設置及び発炎筒の点火等の危険を防止する措置を怠ったことで第二事故が発生。
- 同路線運転者は別事業者からの出向で、本バス事業者による主体的な運転管理の指導・監督が不十分だった。


相手車両(後側面)

当該車両(後面)

参考

「高速乗合バスの連続運転について」
国土交通省が定めた「高速乗合バス交替運転者の配置基準」において、「連続運転・休憩の考え方」では、高速道路の実車運行区間の連続運転時間について、運行計画上「概ね2時間まで」と示しており、連続運転時間が2時間を超える場合は、次のSAまたはPAで休憩を取ることを推奨している。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/dl/kousokubus-03.pdf
「長く運転してまとめて寝た方が疲れが取れる」という考えは、居眠りや漫然運転による事故を発生させる危険があり、適切な運行管理を徹底することが必要である。

事故概要図

再発防止策

適切な運行管理の徹底
- 各種記録を精査し、運行計画に従った運行が励行されているか確認する。
- 点呼において、運転者の健康状態、疲労の度合い、睡眠不足を総合的に判断する。
- 現行規定の趣旨を踏まえ、概ね2時間ごとに運転を交替する。
- 管理の受委託契約や運転者の出向等の場合は、責任の所在を明確にし、管理の徹底を図る。
- 出向契約により運転者の出向を受ける事業者は、出向運転者に対する指導(事故後の対応等)を徹底する。

輸送安全の確保及び風通しの良い職場環境作り
- 事業者は、輸送の安全性の向上に努めるため、旅客自動車運送事業に係る安全マネジメントに関する指針(平成 18 年国土交通省告示第 1087 号)に基づき、運輸安全マネジメント体制の構築・改善に努める。

事業用自動車事故調査委員会について
「事業用自動車事故調査委員会」は、平成26年 (2014年) 6月24日に設立された事業用自動車が関わる重大事故について、その原因を分析し、再発防止策を提言するための事故調査機関。

概要

- 人間工学、労働科学、健康医学、自動車工学、交通工学、道路工学などの専門知識を有する者で構成
- 毎年4回開催し、報告書について審議


【委員会の様子】

【調査事例】           軽井沢スキーバス事故       ※国土交通省ウェブサイトから

【公表の状況】           ・特別重要調査対象事故:19件    ・重要調査対象事故:48件

経緯

- 社会的影響の大きな事業用自動車の重大事故については、事故の背景にある組織的・構造的問題の更なる解明を図るなど、より高度かつ複合的な事故要因の調査分析と、客観性のあるより質の高い再発防止策の提言を得ることが求められている。
- 国土交通省は平成26年(2014年)6月、(公財)交通事故総合分析センターを事務局として、各分野の専門家から構成される「事業用自動車事故調査委員会」を設置し、事業用自動車の重大事故について事故要因の調査分析を行っている。

事故調査の流れ

事業用自動車事故調査委員会委員名簿

・吉田 裕
関西大学社会安全学部 教授
・今井 猛嘉
法政大学法科大学院 教授、弁護士
・小田切 優子
東京医科大学医学部医学科公衆衛生学分野 講師
・久保田 尚
埼玉大学大学院 理工学研究科 名誉教授
日本大学 客員教授
・首藤 由紀
株式会社社会安全研究所代表取締役 所長
・廣瀬 敏也
芝浦工業大学工学部 教授
・小川 和久
東北工業大学 総合教育センター 教授
・余村 朋樹
公益財団法人大原記念労働科学研究所研究部 部長 主任研究員

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