― 早期発見への意欲と、鑑別を支える仕組みの必要性が明らかに―
株式会社ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:藤井勝博、以下「ケアネット」)と、株式会社マクロミルケアネット(本社:東京都港区、代表取締役社長:徳田茂二)は、2月28日の「Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)」にあわせ、総合診療医108名を対象に「希少疾患に関する意識調査」を実施しました。
本調査でははじめに、希少疾患(日本において患者数が5万人未満)が確定診断に至るまでの期間について質問し、総合診療医の9割が「一般的な疾患と比べて遅れやすい」と回答しました。こうした認識を背景に、総合診療医が日常診療で希少疾患とどのように向き合っているのかをたずねました。
日常診療において希少疾患を鑑別の対象として「意識している」と回答した総合診療医は8割を超え、約7割が自らを希少疾患診断における「初期評価・鑑別のゲートキーパー」や「診断プロセスの担い手」と認識しており、多くの総合診療医が日常診療で希少疾患も念頭に置いている実態が明らかになりました。
一方で、実際に年間1例以上、希少疾患の診断に関与した経験がある医師は約4人に1人でした。また、総合診療医の76%が「自分たちは希少疾患の早期発見に貢献できる」と回答しており、経験機会が限られる希少疾患の領域でも、総合診療医が自らの役割に基づき、早期診断に貢献しようとする高い意識を持っていることがうかがえました。
前野哲博 教授(筑波大学附属病院 総合診療科長)コメント
今回の調査結果を受け、筑波大学附属病院 総合診療科長 前野哲博教授は次のように述べています。
「希少疾患は、個々の患者数は限られるものの疾患の種類が数千にも及ぶため、総患者数は決して「希少」とは言えない規模に達しています。しかし、その専門性の高さや症状の多様性から、適切な診断に至るまでに平均数年を要することも少なくないという社会課題を抱えています。こうした状況の中、今回の調査からは、多くの総合診療医が日常診療において希少疾患を意識し、自らを診断の「ゲートキーパー」として位置付けながら、早期発見に貢献しようとしている姿勢がうかがえます。
一方で、希少疾患は診療の中で遭遇する機会が限られるため、総合診療医が実地で経験を積みにくい特性があります。そのため、希少疾患の存在は意識しても、日常的に膨大なcommon diseaseの診療にあたる中で想起が難しく、診断に時間を要する状況も生じているのだと考えられます。今後は、医師個人の研鑽に加え、知見を集約・共有できる仕組みの整備を並行して進めることが求められていると感じます。」
主な調査結果
1. 総合診療医の8割以上が、日常診療において希少疾患を鑑別対象として意識
「日常診療において、希少疾患を鑑別として意識する頻度」についてたずねたところ、「常に意識している」が14%、「症例・症状によっては意識する」が68%となり、8割以上の総合診療医が希少疾患を意識して診療していることが明らかになりました。希少疾患がまれな疾患であるにもかかわらず、多くの総合診療医が日常的に鑑別の可能性として念頭に置いている実態がうかがえます。
2. 総合診療医の多くが、希少疾患診断の起点としての役割を認識し、早期発見に貢献できると回答
「希少疾患の診断遅れを減らすために、総合診療医の最も重要だと思う役割」をたずねたところ、46%が「初期評価・鑑別のゲートキーパー」、24%が「診断プロセスのマネジメント」と回答しました。また「総合診療医は希少疾患の早期発見に貢献できると思うか」という質問に対しては、76%が「貢献できる」と回答しており、希少疾患診断における“起点”と“診断プロセス全体をつなぐ”役割認識と、意欲の高さが示されました。
3. 年間1例以上の希少疾患の診断に関与した経験がある医師は約4人に1人
実際に年間1例以上、希少疾患の診断プロセスに関与した経験があると回答した総合診療医は24%でした。希少疾患を意識し、役割を自覚しつつも、診療の現場で実際に症例に遭遇する機会は限られており、経験を積みにくい領域であることがうかがえます。
4. 総合診療医の9割が「希少疾患は診断までに時間がかかりやすい」と実感
希少疾患は、そうでない疾患と比べて「患者さんが最初に医療機関を受診してから確定診断に至るまでが遅れやすいと感じるか」をたずねたところ、総合診療医の90%が「感じる」と回答しました。
5. 希少疾患の早期診断には、総合診療医のスキル向上と、鑑別を支える仕組みの整備が必要
希少疾患の早期診断を進めるうえで必要だと感じる支援として、「総合診療医のスキルアップ」(63%)、「鑑別支援ツール・ガイドラインの整備」(49%)が上位に挙げられました。これらの結果から、希少疾患診断においては、医師個人の努力や経験に依存するだけでは解決が難しく、知識や判断を支える仕組みを整備することも重要であると、総合診療医自身が認識していることがうかがえます。
※詳しい調査結果は参考資料をご覧ください。
今後の展望
本調査により、総合診療医の希少疾患に対する高い意欲と、同時に「個人の経験だけでは知見の蓄積が困難である」という希少疾患特有の課題が浮き彫りになりました。
ケアネットおよびマクロミルケアネットでは、医師・医療者向けプラットフォームとして、希少・難治性疾患に関する知見の集約を通じ、診療現場における意思決定を支援してきました。今後は本調査で得られた洞察を活かし、個人の経験を医療界全体の知見へとつなげる「知見の集積拠点」としての役割をより一層強化してまいります。
CareNet.com「希少疾病ライブラリ」にて200以上の希少疾患の基本情報・診断・治療などの解説コンテンツを掲載中(医師会員限定)
https://www.carenet.com/report/library/general/rare/index.html
ケアネット公式LinkedInにて「希少・難治性疾患を知る」配信中
https://www.linkedin.com/company/carenet-inc./posts/
◆ マクロミルケアネットについて
名称:株式会社マクロミルケアネット
代表者:代表取締役社長 徳田 茂二
所在地:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー11F
設立:2014年12月
資本金:4,500万円
主な事業内容:医療専門の市場調査事業
ウェブサイト:https://www.macromillcarenet.jp/
◆ ケアネットについて
ケアネットグループは、「知と情熱と行動力で、医療人を支え、医療の未来を動かす。」をパーパスに掲げ、24万人の医師会員を有する「CareNet.com」(https://www.carenet.com/)を基盤に事業を展開。医療の人材・教育・経営から新薬の開発・治験・普及支援まで、医療・医薬分野の専門サービスを幅広く提供しています。ケアネットの会社概要についてはhttps://carenet.co.jp/をご参照ください。採用情報はhttps://carenet.co.jp/recruit/にてご覧いただけます。
参考資料:調査概要と結果
【調査概要】
総合診療科に勤務する総合診療医を対象に「希少疾患」に関する意識を調査するインターネット調査
- 調査期間:2025年12月26日~2025年12月31日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象:総合診療科の医師 108名
- 調査パネル:CareNet.com登録医師
【調査結果とグラフ】
<総合診療医の8割以上が、日常診療において希少疾患を鑑別対象として意識>
Q. 日常診療において、希少疾患を鑑別として意識する頻度についてお聞かせください。

「常に意識している」(14%)と「症例・症状によっては意識する」(68%)を合わせて、総合診療医の82%が「希少疾患を意識して診療している」と回答しました。
<総合診療医の多くが、希少疾患診断の起点としての役割を認識し、早期発見に貢献できると回答>
Q. 希少疾患の診断遅れを減らすために、総合診療医の最も重要だと思う役割を1つ選んでください。

総合診療医の46%が「初期評価・鑑別のゲートキーパー」、24%が「診断プロセスのマネジメント」と回答しました。
Q. 総合診療医は希少疾患の“早期発見に貢献できる”と思いますか。

また、総合診療医の17%が「強く思う」、59%が「やや思う」と、合わせて76%が希少疾患の早期発見に「貢献できる」と回答しました。
<年間1例以上の希少疾患の診断プロセスに関与した経験がある医師は約4人に1人>
Q. 総合診療医として年間何例くらい希少疾患を診断(診断プロセスに関与したケースを含む)しますか。

「年間に複数例」を経験した医師は13%、「年1例」が11%と、年に1例以上、希少疾患の診断プロセスに関与した経験があると回答した総合診療医は、合わせて24%でした。「年に1例未満」と回答したのは17%で、半数以上が「過去に診断したことはない」(38%)か「わからない」(21%)と回答しました。
Q. 前問で「複数例/年」「1例/年」「1例未満/年」とお答えした先生へ、診断に関わった希少疾患名をご記入ください。(自由記入)

<総合診療医の9割が「希少疾患は診断までに時間がかかりやすい」と実感>
Q. 希少疾患(日本において患者数が5万人未満)は、そうでない疾患と比べて「患者さんが最初に医療機関を受診してから確定診断までが遅れやすい」と感じますか。

総合診療医の48%が「とても感じる」、42%が「やや感じる」と、合わせて全体の90%が「感じる」と回答しました。
Q. 前問で「とても感じる」「やや感じる」とお答えした先生へ、その原因は何だと思われますか。(複数回答)

希少疾患の確定診断までに時間がかかる理由として、「希少疾患は症状が多様で一般的な疾患と類似している場合もあり、鑑別に挙げにくいため」(66%)、「希少疾患に関する医師の経験・知識が不足しており、疾患を想起しにくいため」(65%)、「希少疾患が疑われた際に、適切な専門医・専門施設につながるまでの時間がかかりやすいため」(47%)が主に選択されました。
<希少疾患の早期診断には、総合診療医のスキル向上と鑑別を支える仕組みが必要>
Q. 希少疾患の早期診断を進めるうえで、必要だと感じる支援を上位3つまで選んでください。(複数回答)

「総合診療医のスキルアップ」(63%)、「鑑別支援ツール・ガイドラインの整備」(49%)が上位に挙げられ、「紹介ルートや相談窓口の整備」、「役割の啓発」を上回りました。
<属性>
Q. 総合診療科に関わるようになってからのご経験年数を教えてください。

Q. 主として勤務されているご施設の経営形態をお知らせください。
