第3回のゲストは、東京五輪出場フェンシング選手・西藤俊哉氏。炎上・誹謗中傷のどん底から世界の舞台へ再び立った思考法とは?
アイデンティティー・パートナーズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:中野広介)は、2026年3月26日(木)、IDPパワーランチ(オンライン勉強会)第3回「戦犯と呼ばれた男~失敗からの立て直しかた~」を開催しました。

「ランチタイムの50分で、一線のプロから本音が聞ける」場を目指して立ち上げたオンライン勉強会「IDPパワーランチ」。各界の専門家を招き、ビジネスパーソンが本質的な知見に直接触れる機会を提供しています。
第3回目は、東京五輪出場フェンシング選手・西藤俊哉氏をお招きし、「失敗からの立て直しかた」についてお話しいただきました。
本レポートでは、想像を絶する失敗とバッシングを経験しながらも、それを乗り越えて世界の舞台に再び立った西藤選手の思考法から、ビジネスパーソンが明日から活かせるヒントを凝縮してご紹介します。

「戦犯」とトレンド入りした日
西藤選手が2021年の「あの日」を振り返ります。東京オリンピックのフェンシング男子フルーレ団体準決勝。
日曜日、テレビ中継が入った準決勝で、西藤選手は「1人でマイナス13点」という結果を喫します。
リレー方式で45点先取を競う団体戦において、この失点は大きく響きました。チームは準決勝・3位決定戦をともに落とし、4位で大会を終えます。
試合後、控室のマッサージベッドに置いていた携帯に戻ると、異変はすぐにわかりました。
「帰ったら、携帯がブブブって鳴りすぎてて。え、なんだろうと思ったら、自分のSNSのアカウントの通知数が99プラスみたいなマックスまでいってて。見たら、誹謗中傷のDMがめちゃくちゃ来ていました。」
さらにチームメイトがXを見ると、「西藤俊哉 戦犯」でトレンド入りしていました。本来であれば、金メダル級の活躍でも大きく話題化しにくい競技であるにもかかわらず、よりによって最悪の形で一気に注目が集まってしまった瞬間でした。
「チームに申し訳ないような気持ちでいっぱいだった。多分、一番どん底だったっすね。」
さらに追い打ちをかけたのが、3年後のパリオリンピックです。東京五輪チームメイト3人が同じメンバーで選ばれ、自分だけが外れた。そしてそのチームがパリで金メダルを獲得しました。
「出れなかったことも悔しいし、チームメイトが結果出したのは嬉しいけど悔しいっていうところで、すごい落ち込んで。」
東京の「戦犯」炎上、そしてパリ不選出。二度の大きなどん底を経験した西藤選手が、どのようにして這い上がってきたのか。そこに、ビジネスパーソンへの深いヒントが詰まっていました。

失敗を受け入れることが、次への扉を開く
西藤選手が復調のきっかけとして挙げたのが、現在のコーチとの対話です。
コーチから繰り返し言われたのが、「失敗を受け入れること」の重要性でした。
「1点やられることもある。そういう競技だ。だから1点やられたことを、なんで今やられちゃったんだ?と焦るんじゃなくて、OK、相手がうまかった、でも次に自分はどうしよう?とすぐ切り替える。」
これはフェンシングのポイント制の話ですが、ビジネスの失敗にも置き換えられる発想です。失敗した事実から目をつぶることと、受け入れたうえで次へ向かうことは、まったく違います。
「負けたとか失敗したっていう事実には目をつぶりたくなるんですけど、受け入れることですぐ次にいける感じがあって。なので、受け入れるっていうのはすごく大事だと思います。」
さらに西藤選手は、失敗を「チャレンジの証」として捉え直すことの大切さを語ります。
「失敗したという事実じゃなくて、チャレンジしたという点に目を向けるのが大事で。チャレンジして失敗したことって、次に繋がることだと思うんですよ。チャレンジしたことを自分のなかで褒めてあげるのが大事。」
「失敗を恐れると、失敗が起きる」
西藤選手の言葉のなかで、特に印象的だったのがこの一言です。
「失敗を恐れると失敗しちゃうんですよ。失敗が起きちゃう。」
試合の場面でいえば、試合の前に「この試合で負けたら」「ここで勝てなかったら」と考え出した瞬間に、今に集中できなくなる。未知のことに意識が向き、自分がやるべき準備がおろそかになる、という構造です。
これはビジネスにも当てはまる話です。プレゼンや交渉の前に「失敗したらどうしよう」と考えるほど、目の前の準備が雑になる。最大の防御は、結果への不安ではなく、今できることへの集中です。

コーチとの「めちゃくちゃ喋る」関係が強さを生む
参加者からの質問で特に盛り上がったのが、コーチとの関係についてでした。
「僕、コーチとはもうめちゃくちゃ喋ります。プライベートのこともそうだし、多くのコミュニケーションを取るようにしてて。自分一人では絶対に勝てないんですよね、フェンシング。」
西藤選手が大事にしているのは「腹落ち」すること。コーチから何か言われたときに、納得できないまま従うのではなく、自分の意見をしっかりぶつける。その摩擦のなかから、本当に自分のものになる取り組み方が生まれると言います。
「コーチから何か言われたときに、自分が『違う、こうじゃないな』と思っているのに言えないみたいな。結構日本人あるあるだと思うんですけど。でも、言わないままやると、自分のなかで腹落ちしてないから何か取り組んでも中途半端になっちゃって。」
管理職の参加者から「ハラスメントを気にしてプライベートな話がしにくい」という声も上がりました。西藤選手はこう返します。
「言葉にして伝えないと伝わらないこともいっぱいあるし、相手のことも理解できない。なので、僕のなかで大事にしているのは、やっぱりたくさん喋ってコミュニケーション取るということです。」
上司・部下である前に、人として何気ない会話を重ねること。その積み重ねが、いざというときに本音を言える関係につながります。マネジメントへのヒントが見えた場面でした。
おわりに
「戦犯」と呼ばれ、誹謗中傷が殺到し、オリンピックにも選ばれなかった。そんな二重のどん底を経て、西藤選手は昨年から2大会連続で世界カップのメダルを獲得しました。
今回の対談で繰り返し語られたのは、「受け入れる」ことの力です。失敗を見なかったことにするのではなく、起きた事実をそのまま受け取る。そのうえで、自分がチャレンジしたこと自体に目を向ける。それが、次への一歩の踏み出し方を変えていく。
仕事の場でも、こうした失敗との向き合い方はそのまま活かせます。大きなプロジェクトの挫折も、チームでの失敗も、まず「受け入れ、チャレンジした事実に目を向ける」ことから、立て直しは始まるはずです。
第3回 開催概要
・開催日:2026年3月26日(木)12:00~12:50
・形式:オンライン(配信プラットフォーム:YouTube)
・参加費:無料(事前登録制)
・主催:アイデンティティー・パートナーズ株式会社
ゲスト
西藤 俊哉(さいとう としや)
東京五輪出場 フェンシング選手(フルーレ)
1997年5月29日生
出身:長野県箕輪町
出身校:法政大学 法学部 法律学科 卒
所属:株式会社セプテーニ・ホールディングス
【主な戦績】
2017年 世界選手権 銀メダル
2017年 全日本選手権 優勝
2019年 アジア選手権 銅メダル
2021年 東京五輪出場 個人13位 団体4位
2025年 高円宮杯W杯団体 銅メダル
2026年 W杯パリ大会団体銅メダル
対談者
加井 夕子(かい ゆうこ)
アイデンティティー・パートナーズ株式会社 取締役/総研研究員
CTIジャパン 基礎コース修了
PLAYFOOL認定ファシリテーター
司会
佐藤 悠平(さとう ゆうへい)
専門商社に就職後、国会議員公設秘書として4年活躍。
在籍中に、大臣政務官のサポートも経験。
現在は株式会社lazy style代表取締役として「人生の相関図を誰よりも面白くする。」をモットーに、政治・スポーツ・自治体に関わる活動を行っている。
今後の開催について
第4回は、空手家の月井 隼南(つきい・じゅんな)選手にご登壇いただく予定です。
2026年4月16日(木)12:00からYouTubeにて配信いたします。
▼詳細はこちら
https://idp-powerlunch2604.peatix.com/
IDPパワーランチは、ビジネスパーソンが本質に触れ、学びと挑戦を広げていく場を目指し、今後も月1回のペースで開催予定です。
毎回異なるテーマで、ビジネスや各界の最前線で活躍するゲストをお招きし、日本企業の成長を後押しするきっかけを提供していきます。
以上
【アイデンティティー・パートナーズ株式会社 概要】
商号:アイデンティティー・パートナーズ株式会社(IDENTITY PARTNERS CO., LTD,)
所在地:東京都渋谷区神宮前一丁目20番13号ディアテックビル2F
設立:2023年3月
代表者:中野 広介
事業内容:人材育成事業(組織開発、人材開発支援サービス)・ビジネススクール運営事業
URL:https://www.idp-inc.co.jp/
【本プレスリリースのお問い合わせ先】
経営企画部(佐藤)
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