~求められるのは“気兼ねなく働ける風土”と“働き方を柔軟に変えられる仕組み”~
働く時間に制約がある人のためのコンサルティング会社、株式会社ライフ&ワークスは、女性のコンサルタント、システムエンジニアを対象に、「女性コンサル・SEの働き方に関する実態調査」を実施しました。
現在、国内のIT人材不足は深刻さを増しており、2030年には最大で約79万人が不足すると予測されています。なかでも専門性の高い女性コンサルタントやシステムエンジニアの離職防止とキャリア継続は、日本企業の競争力を維持する上で喫緊の課題です。加えて、2025年4月から「改正育児・介護休業法」が段階的に施行され、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充など、企業には働く時間や場所を個人が選択しやすい環境づくりが一段と求められています。
しかし、これまで柔軟な働き方は「育児・介護との両立」という文脈で語られることが多く、キャリア形成との両立については、現場の心理的なハードルや制度の運用実態に課題が残されていました。
当社は、女性専門職が「心身の健康」と「責任あるキャリア」をいかにして両立できるのか、その実態とニーズを明らかにすべく本調査を実施しました。
本調査では、20代から40代の現役女性コンサル・SE 500名に対し、現在の働き方、希望する働き方、柔軟な働き方を求める理由、制度利用時の心理的ハードル、職場に求める条件、将来のキャリアビジョンなどを確認しました。 回答者の職種構成は、ITコンサルタント18.6%、業務・経営・その他コンサルタント11.4%、システムエンジニア70.0%でした。
調査の結果、女性コンサル・SEにとって柔軟な働き方は、育児や介護など特定のライフイベントへの対応にとどまらず、心身の健康を保ち、専門性を高めながら長く働き続けるための基盤として求められていることが分かりました。 また、柔軟な働き方を希望しながらキャリアアップを志向する層が存在する一方で、実際に制度を利用している人ほど、同僚への気兼ねやキャリア形成上の不安を抱えやすい実態も明らかになりました。企業には、制度の整備だけでなく、柔軟な働き方を気兼ねなく利用でき、働き方にかかわらず成長機会を得られる環境づくりが求められます。
調査結果サマリー
- 柔軟な働き方を希望する理由は、「心身の健康やワークライフバランスを保つため」が70.5%で最多。
- 現在時短勤務を利用している層の約47%が、PM以上へのキャリアアップを志向。
- 実際に時短勤務を利用している層では、32.4%が同僚への気兼ねや罪悪感、30.9%がキャリアパス制限への不安を感じている。
- 長く働き続けるために求める条件は、「気兼ねなく働ける風土」49.6%、「働き方を柔軟に変更できる仕組み」46.6%。
- 働き方を変更できる場合、46.0%が「1ヶ月単位」での変更を希望。
2023年調査との比較
柔軟な働き方の課題は「就業機会の少なさ」から「制度利用後の運用・風土」へ
当社グループが2023年に実施した女性コンサルタント調査では、女性コンサルの約75%が何らかの時短勤務を希望している一方、現役女性コンサルで時短勤務をしている人は4.1%にとどまり、柔軟な働き方を前提とした就業機会の少なさが明らかになりました。 今回の調査では、現役の女性コンサルタント・SEを対象に、実際に働き続けるうえで求める働き方や、制度利用時に感じる心理的・キャリア上のハードルを確認しました。その結果、柔軟な働き方へのニーズは時短勤務にとどまらず、フルリモート、ハイブリッド勤務、週休3日などへ多様化していることが分かりました。 また、2023年調査に続き、今回調査でも、柔軟な働き方を希望する層が、キャリア形成にも前向きであることが確認されました。一方で、今回調査では、実際に制度を利用している人ほど同僚への気兼ねやキャリアパスへの不安を抱えやすい実態も明らかになり、柔軟な働き方を機能させるには、制度の有無だけでなく、評価・配置・組織風土まで含めた運用が重要であることが分かりました。
<調査結果1>柔軟な働き方を希望する理由、最多は「心身の健康・ワークライフバランス」70.5%
柔軟な働き方を希望する理由を確認したところ、「心身の健康やワークライフバランスを保つため」が70.5%で最多となりました。次いで、「趣味や自己研鑽の時間確保」が45.8%、「育児・子育て」が29.1%、「副業との両立」が15.6%、「家族の介護」が12.7%でした。
この結果から、柔軟な働き方は育児や介護に限られた支援策ではなく、心身のコンディションを保ち、自己研鑽の時間を確保しながら、専門職として長く働き続けるための重要な条件になっていることが分かります。
図1:柔軟な働き方を希望する理由(複数回答、柔軟な働き方希望者 n=275)

<調査結果2>時短勤務利用者の約47%が「PM以上」へのキャリアアップを志向
現在時短勤務を利用している層では、「将来はプロジェクトマネージャーとしてプロジェクト管理を行いたい」が23.5%、「課長や部長になり組織の管理職として活躍したい」が19.1%、「役員以上になって会社の経営に参画したい」が4.4%となり、合計47.1%がPM以上へのキャリアアップを志向していました。
この結果は、時短勤務を利用している人が、必ずしもキャリア意欲を弱めているわけではないことを示しています。働く時間に制約があっても、責任ある役割やマネジメント、経営参画を目指す層が存在しています。
図2:時短勤務利用者のキャリアアップ志向(時短勤務利用者 n=68)

<調査結果3>時短勤務利用者はキャリア意欲が高い一方、3割超が罪悪感やキャリア不安を抱える
一方で、実際に時短勤務を利用している層では、PM以上へのキャリアアップ志向が高い一方で、制度利用に伴う心理的・キャリア上の不安も全体より高く表れました。
「通常勤務の同僚に対して気兼ねや罪悪感を持ってしまう」は全体21.6%に対し、時短勤務利用者では32.4%。「正社員募集自体が少ない、またはキャリアパスが制限される」は全体20.4%に対し、時短勤務利用者では30.9%でした。
時短勤務利用者の約47%がPM以上へのキャリアアップを志向しているにもかかわらず、実際に制度を利用すると、周囲への遠慮やキャリア機会の制限を感じやすい。ここに、女性コンサル・SEの柔軟な働き方をめぐる“理想と現実の溝”があります。
図3:時短勤務利用者が感じるハードル(複数回答、全体 n=500、時短勤務利用者 n=68)

<調査結果4>長く働き続けるために必要なのは「気兼ねなく働ける風土」と「柔軟に変更できる仕組み」
長く働き続けるために職場に求める条件を聞いたところ、「全員が柔軟な働き方をしており、周囲に気兼ねなく働ける風土」が49.6%で最多となりました。次いで、「ライフスタイルに合わせて、働き方を柔軟に変更できる仕組み」が46.6%でした。 また、働き方を変更できる場合に求める頻度では、46.0%が「1ヶ月単位」での変更を希望しています。制度があるだけでは、柔軟な働き方は十分に機能しません。誰もが状況に応じて自然に制度を利用できる風土と、ライフイベントやプロジェクト状況に応じて働き方を見直せる仕組みが、人材定着と活躍の鍵になると考えられます。
図4:長く働き続けるために職場に求める条件(最大2つまで選択、n=500)

代表者コメント
株式会社ライフ&ワークス 代表取締役社長 秋葉 尊
当社は、働く時間に制約がある人が、専門性を高めながら責任ある仕事に挑戦し続けられる会社でありたいと考え、柔軟な働き方を前提とした組織づくりを進めてきました。そのため、女性コンサルタントをはじめとする専門職の働き方の実態やニーズを把握することが重要と考え、当社グループでは働き方に関する調査を実施しています。
2023年の調査では、柔軟な働き方を希望する女性コンサルタントが多い一方で、実際には柔軟な条件で働ける機会が限られていることが確認できました。今回の調査では、柔軟な働き方へのニーズが、育児や介護への対応にとどまらず、心身の健康を保ち、専門性を高めながら長く成果を出すための働き方へと広がっていることが分かりました。
また、前回調査でも柔軟な働き方を希望する女性コンサルタントのキャリアアップ意欲を確認していましたが、今回の調査では、実際に時短勤務を利用している方の約47%がPM以上へのキャリアアップを志向していることも明らかになりました。柔軟な働き方を選んでも、意欲と能力に応じて責任ある役割に挑戦できる環境が必要だと考えています。
一方で、制度を利用している方ほど、同僚への気兼ねやキャリアパスへの不安を抱えやすい実態も見られました。制度があっても、それを使うことで遠慮が生まれたり、成長機会が狭まったりするようでは、柔軟な働き方は十分に機能しません。
ライフ&ワークスは、働く時間に制約がある人のためのコンサルティング会社として、時短勤務をはじめとする柔軟な働き方を前提に人事制度を設計し、評価制度についても「働く時間に影響を受けない評価制度」を導入しています。実際に、時短勤務であってもプロジェクトマネージャーや管理職として活躍する社員が出てきており、働く時間に制約があることがキャリアアップの妨げにならない環境づくりを進めています。
今後もこうした取り組みをさらに進め、社員一人ひとりがライフステージや生活環境に応じて働き方を選びながら、周囲に気兼ねすることなく責任ある仕事に挑戦し、成果と成長を両立できる環境づくりを続けてまいります。
調査概要

※構成比は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。複数回答設問では合計が100%を超えます。
会社概要
会社名:株式会社ライフ&ワークス
所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル
代表者:代表取締役社長 秋葉 尊
事業内容:人事領域のITコンサルティング