安全でセキュアなOS、ミドルウェア、ツールの業界大手3社がノウハウを結集し、ソフトウェア統合の複雑性を解消することで、OEMはブランドの差別化に専念可能に
米国ラスベガス （CES）-- 2025年1月6日 BlackBerry Limited（本社：カナダ オンタリオ州、CEO：ジョン・ジアマッテオ、NYSE：BB、TSX：BB）の事業部門のQNXと、Vector Informatik GmbH（本社：ドイツ シュツットガルト 以下、ベクター）、TTTech Auto（本社：オーストリア ウィーン）の3社は共同で、車載基盤ソフトウェアプラットフォームの開発・販売に関して複数年にわたるグローバル事業で協働することを発表しました。これにより、煩雑かつ高コストなソフトウェア統合プロセスが不要になることで、自動車メーカーは今後、ブランドロイヤルティー、差別化、価値を創造する画期的な消費者向けアプリケーションの提供に専念できます。
ソフトウェアのジレンマを解決：複雑性とコストへの対処
今日の自動車メーカーは、重大なジレンマに直面しています。堅牢な車載ソフトウェアプラットフォームは、次世代自動車を実現する上で重要な要素ですが、社内での開発・保守作業が高コストであるにも関わらず、完成後に消費者が直接得られる価値はわずかなものとなっています。すべての車載ECUに数百社ものソフトウェアプロバイダーが関与することで、大幅な複雑化の問題に加えて、統合とアップグレードのコストも増大しており、これによってソフトウェアの非互換性、性能の問題、導入の課題、生産の遅延が想定されます。ハードウェア固有の依存関係は、ベンダーのロックインという形で問題をさらに悪化させており、各種モジュールとプログラムの間の移植性は制限されます。さらに、業界コンソーシアムが最善の努力を行っているにも関わらず、既存の車載ソフトウェアプラットフォームのアプローチは、性能の問題、複雑な構成要件、安全認証のハードルにより、OEMの幅広い支持をいまだ獲得できていません。
ソフトウェア定義型自動車（SDV）開発の簡素化を実現
QNX、ベクター、TTTech Autoが構築する車載ソフトウェアプラットフォームによって、自動車メーカーは上記の課題を解決するソフトウェアの強固な基盤を得られ、ユーザーが最も求めるアプリケーションとサービスを提供し、自社のブランドを差別化できます。さらに、メーカー側のメリットとして、エコシステムの新規メンバーによる貢献を取り入れて長期的に進化する、オープンで透明性の高いマルチパーティコラボレーションによるガバナンスの恩恵も受けられます。この車載ソフトウェアプラットフォームは、自動車業界の機能安全（「ISO 26262 ASIL D」）とセキュリティ（「ISO 21434」）の最高規格の認証を取得しており、事前統合済みで軽量性にも優れています。設計がシンプルで本質的に高性能であり、車両全体への拡張も可能なため、ソフトウェア定義型自動車（Software Defined Vehicle 、SDV）の開発作業がかつてないほど容易・迅速になり、自動車メーカーはコストを最適化し、貴重なリソースを集中させて、顧客体験の向上に注力できます。
最重要業務に専念できるよう、自動車メーカーを負担から解放
QNXの最高執行責任者兼製品・エンジニアリング・サービス担当責任者であるJohn Wallは、次のように述べています。「自動車メーカー各社は、ソフトウェアを迅速かつシンプルに、かつ大規模に展開しなければならないという大きなプレッシャーに直面しています。こうした過酷な現実により、自社のブランドを差別化し、魅力的な車内体験を提供するというコアミッションから逸脱した問題が頻繁に発生します。こうした状況を受け、多くの企業から『ユーザーのために最も重要な業務に専念できるよう、基本ソフトウェアスタックの負担を引き受けてほしい』という要望が寄せられました。ベクターとTTTech Autoという志を同じくするパートナーと協力し、総合的な車載ソフトウェアプラットフォームで積極攻勢に出ることで、自動車メーカーが開発時の悩みや複数サプライヤーの管理と決別し、画期的な機能を自由に開発して運転のあり方を再定義できることは、私たちにとって大きな喜びです」
世界的な自動車調査会社のSBD AutomotiveのディレクターであるAlex Oyler氏は、次のように述べています。「世界を代表するソフトウェアエンジニアリング企業の背後には、十分に統合され、成熟したツールチェーンの存在があります。SDVへの急速な移行に伴い、OTA（Over-the-Air）アップデート、SiL（Software-in-Loop）シミュレーション、クラウドネイティブな車両シミュレーションの分野で開発を拡大するには、全く新しいツールやツール間の統合機能を開発する必要があります。QNX、ベクター、TTTech Autoに代表される企業間の緊密な協力は、市場投入期間の短縮、複雑性の軽減、労働力の効率化といった、SDVの極めて重要な主要業績評価指標の達成を目指す上で不可欠です」
ベクターのプレジデント兼マネージングディレクターであるMatthias Traub氏は、次のように述べています。「当社のお客様は、車載ソフトウェアプラットフォームにおける各種コンポーネントの統合と、自動車のライフサイクル全体を通じた保守に膨大な時間を投じています。より多くのパーツを事前に統合することで、当社はOEMが必要とする労力を大幅に減らし、最終的には市場投入までの期間を短縮できます。事前統合済みの車載ソフトウェアプラットフォームの開発に向けたQNX、TTTech Auto、ベクターのコラボレーションにより、OEMは今後、差別化とは無関係なソフトウェアに割いていたリソースを使い、ユーザー向けの機能に注力できます。共同で車載ソフトウェアプラットフォームを開発することで、バリエーションが削減され、ソフトウェアの品質と成熟度が向上し、総保守コストが大幅に削減されます」
TTTech AutoのCEOであるDirk Linzmeier氏は、次のように述べています。「私たちTTTech Autoは、より迅速で堅牢な統合ソリューションを提供することで、SDVの開発促進に取り組んでいます。当社とQNXおよびベクターとの協業により、複数のSoC（System on Chip）をサポートするスケーラブルなプラットフォームの提供が可能となり、自動車メーカーによる迅速かつ効率的なイノベーションの実現を可能にします。今回の協業は、車載ソフトウェアの統合という複雑な作業を簡素化する上での大きな前進であり、OEMはユーザーの運転体験に専念できます」
本車載ソフトウェアプラットフォームの中核部分は、安全でセキュアな運用システムと実績ある車載ミドルウェアソリューションの専門知識を結集し、QNXとベクターが共同で開発・管理します。ベクターはツーリングとテストソリューションの分野における深い知見をプロジェクトに活かし、TTTech Autoはタスクとコミュニケーションの高度なスケジュール作成、および独自の設計による正確性における高い専門性によってプラットフォームを補完します。また、この協業は従来のバリューチェーンからバリューネットワークへのコラボレーションモデルの変革を示すものです。本プラットフォームは一般提供開始後、自動車メーカーへの価値をさらに高めるため、エコシステムの新規参加企業やオープンソースコミュニティなど、様々な企業や団体との連携を進めていく予定です。
今回の車載ソフトウェアプラットフォームの一般提供に関する詳細は、2026年度中の発表を予定しています。
QNXは、トヨタ、ホンダ、BMW、ボッシュ、コンチネンタル、東風汽車、吉利汽車、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、ボルボなど、世界の主要なOEMメーカーおよびTier1サプライヤーから、ソフトウェア主導による未来の基盤として信頼されています。その基盤ソフトウェアは、デジタルコックピットや先進運転者支援システム（Advanced Driver Assistance Systems、ADAS）からインフォテインメントシステム、ドメインコントローラーに至るまで、将来を見据えたエンジニアリング設計をサポートし、自動車メーカーがより迅速かつ低コストでイノベーションを市場に投入することを可能にします。
QNXの車載用製品の包括的なスイートは、「CES」（於：ラスベガス・コンベンション・センター、期間：現地時間2025年1月7～10日）にて展示されます。QNXブース（西ホール、#4224）までご来場いただくか、こちら＜ mediarelations@blackberry.com ＞から担当者とのミーティングをご予約ください。
QNXの組み込みソフトウェアソリューションのポートフォリオは、より迅速な安全認証の取得をサポートすることで、信頼性を保証し、開発期間を短縮します。詳細は、QNXをご覧ください。
BlackBerryについて
BlackBerryは、世界の企業や政府機関向けに、インテリジェントなソフトウェアとサービスを提供しています。BlackBerryの高性能な基盤ソフトウェアにより、大手自動車メーカーや産業界の大手企業は、安全性、セキュリティ、信頼性を損なうことなく、革新的なアプリケーションの開発、新たな収益源の創出、変革的なビジネスモデルの展開を実現できます。カナダ・オンタリオ州ウォータールーに本社を置く当社は、セキュアな通信分野における深い専門性を有し、包括的で高度なセキュリティを備え、広範な認証を取得したポートフォリオを通じて、業務の回復力を提供しています。また、AIと機械学習を活用した先進的なサイバーセキュリティソリューションをお客様に提供する先駆者でもあります。AIと機械学習を活用して、サイバーセキュリティ、安全性、およびデータプライバシーソリューションの分野で革新的なソリューションを提供しています。さらに、エンドポイントのセキュリティ管理、暗号化、組み込みシステムなどの主要分野をリードしています。詳細は、BlackBerry.comをご覧いただくと同時に、@QNX Newsをフォローしてください。
QNXについて
QNXは、BlackBerry Limited（NYSE: BB; TSX: BB）の事業部門として、人々の体験を豊かにし、テクノロジー主導型の産業の可能性を広げ、ソフトウェア定義型企業が成長できる信頼できる基盤を提供しています。当事業部門は、安全かつセキュアなオペレーティングシステム、ハイパーバイザー、ミドルウェア、ソリューション、開発ツールの提供において業界をリードし、信頼される組み込みソフトウェアの専門家によるサポートとサービスを提供しています。QNXテクノロジーは、現在2億5500万台以上の自動車を含む、世界で最もクリティカルな組み込みシステムで採用されています。QNXソフトウェアは、自動車、医療機器、産業用制御装置、ロボット、商用車、鉄道、航空宇宙・防衛など幅広い業界で信頼を獲得しています。1980年に設立されたQNXは、カナダ・オタワに本社を置いています。詳細については、qnx.comをご覧ください。
(C)2025 BlackBerry Limited。BLACKBERRYおよびEMBLEM Design、QNXおよびQNXロゴデザインなどの商標（ただし、これらに限定されない）は、BlackBerry Limitedの商標または登録商標です。また、このような商標に対する独占的権利が明確に留保されています。その他すべての商標は各社の所有物です。BlackBerryは第三者のいかなる製品またはサービスについて責任を負うものではありません。
ベクターについて
ベクターは、ソフトウェアベースの電子システムとネットワーク機能の開発用のソフトウェアツールとコンポーネントを製造するリーディングカンパニーです。
35年以上にわたり、ベクターは自動車エレクトロニクスの開発における有能なパートナーとして活動してきました。世界33拠点で4500人以上の従業員が、自動車メーカーやサプライヤーの組み込みシステム開発を、専門的なツールプラットフォーム、ソフトウェアコンポーネント、サービスでサポートしています。テクノロジーへの情熱に突き動かされ、ベクターはエンジニアの要求の高い業務を軽減するソリューションを開発しています。
ベクターグループは現在、全世界で4000人以上の従業員を擁しており、2023年の売り上げは11億6000万ユーロでした。ドイツ・シュトゥットガルトに本社を置くベクターは、ブラジル、中国、フランス、英国、インド、イタリア、日本、オーストリア、ルーマニア、スウェーデン、韓国、スペイン、米国に子会社を置いています。
効率的で技術的なソリューションは、ベクターの情熱です。お客様は、組み込みシステムの開発における効率的なソリューションの面で、ベクターを信頼できる技術的に有能なパートナーとして評価しています。自動車、商用車、航空、運輸、制御工学など、世界中のお客様が、独立したベクターグループのソリューションと製品を信頼しています。
TTTech Autoについて
TTTech Autoは、ソフトウェア定義型自動車のシステム、安全性、セキュリティ（4SDV）に特化したプラットフォーム製品/サービスのリーディング・プロバイダーです。数百万台の自動車への採用実績と強力な技術ポートフォリオを誇るTTTech Autoは、変革を実現・推進する重要な要素を提供しています。TTTech Autoにより、顧客企業は運転体験に専念できる一方、同社のプラットフォーム・ソリューションは、パフォーマンス、安全性、統合、ソフトウェア・アップデートを最適化します。
自動・自律運転向けのグローバルで安全な車載ソフトウェア・プラットフォームの構築に向け、TTTech Autoは2018年、TTTech Groupと技術リーダーのAudi、Infineon、Samsungの各社によって設立されました。2022年には、最新の資金調達ラウンドを通じ、AptivとAudiから2億8500万米ドル（2億5000万ユーロ）を調達しました。オーストリア・ウィーンに本社を、欧州とアジアに子会社を置くTTTech Autoは、ソフトウェア定義型自動車、ADAS、自律運転プログラムの分野で1100人の従業員が大手自動車メーカーと協力しています。英国、スペイン、トルコ、中国、中東欧では、テクノロジー企業の買収と投資を行っています。www.tttech-auto.com
報道関係者お問い合わせ先
QNX Japan 広報事務局
電話: 03-4405-9537
Email: BlackBerryPR@next-pr.co.jp
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