2023年内の運用開始で、再生可能エネルギーの出力制御の解消に寄与します。
テレビ通信販売事業を営む株式会社テレビショッピング研究所(東京都大田区・代表取締役社長 莫 慶、以下 テレビショッピング研究所)と、グリーン電力に特化した電力事業を営む株式会社afterFIT(東京都港区・代表取締役 谷本貫造、以下afterFIT)は協業で、熊本県荒尾市の市有地に第一号となる系統用蓄電池を開発・着工しました。最大の特徴は、導入費用の低価格化。国や自治体の補助金や助成金がなくても、利用した場合と同等、またはそれ以下の費用で導入できる点です。
【系統蓄電池が求められる社会的背景】
2050年のCO2排出実質ゼロを達成するために、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及を官民共に推進しています。しかし、自然由来の再エネは発電量に変動があり、安定化に向けた調整が課題です。また、電力需要が少ない日中の時間帯には、発電した再エネが供給過多となり、電気系統への出力制御によって廃棄される課題もあります。特に荒尾市が所在する九州エリアでは、全国で一番早い2018年から出力制御が行われており、2023年5月時点での2023年度の年間出力制御率見込みは、全国1位の4.8%(*1)。2位の中国エリアの0.67%と比較するとその大きさがはかり知れます。
電気系統に接続した系統用蓄電池に、需要が少ない日中は蓄電し、夕方などの需要が多い時間帯に放電することで、再エネの安定活用につながります。これにより再エネの普及拡大が期待できます。
【普及しやすい低価格の系統用蓄電池を開発】
系統用蓄電池の導入を検討する企業の多くは、国や自治体の補助金や給付金の活用に関心を示していますが、給付条件や給付枠の関係で、導入を見送る企業も少なくありません。
afterFITは一社で一気通貫で行える強みを活かし、補助金や助成金がなくても、利用した場合と同程度、またはそれ以下の負担で導入できる製品を開発しました。導入しやすい価格にすることで系統用蓄電池を普及しやすくし、出力制御による再エネの廃棄を減らすことで、日本の再エネ普及に貢献します。
●系統用蓄電池事業の流れ
【第一号案件について】
熊本県荒尾市に設置する第一号の系統用蓄電池(出力2MW、蓄電池容量8MW)は、2023年内の運転開始に向けて進行中で、2023年7月27日に工事の安全を祈願して地鎮祭を執り行いました。
事業主はテレビショッピング研究所、開発・設計・施工ならびに管理・運用をafterFITが担います。また土地は熊本県荒尾市が所有し、市との賃貸契約となります。荒尾市は市の脱炭素施策の一環として、遊休地を活用し再エネ普及に貢献できる当事業を採択しました。
【今後について】
テレビショッピング研究所の主な事業は、テレビメディア・ECサイトを使った通信販売ですが、根幹には企業理念「夢のある生活提案」があります。気候変動問題には常々危惧を持っており、またエネルギー価格高騰にも強く問題意識がありました。
系統用蓄電池については、再能エネの拡大はもちろん、これからの日本のエネルギー問題の解決に大きく寄与すると考えるに至り、参画を決断いたしました。今回の系統用蓄電池設備は、調整力として需給バランスの確保、さらには市場の極端な値動きの緩和にも役立ちます。まずは高圧設備で知見を蓄積し、ゆくゆくはさらに事業を拡大し、社業が社会貢献に寄与することを考えております。
afterFITは、太陽光や風力などの再エネ発電所の開発、設計・施工や運営を行う中で、安定化に向けた研究や対策に注力してきました。また、定置型の大型蓄電池の開発・設置や、系統用蓄電池と同様の運用モデルである揚水発電所の運用などの実績もあります。
これらの技術や実績をもとに、再エネの更なる普及のために系統用蓄電池事業に着手いたしました。今件を皮切りに、順次、系統用蓄電池の開発、設置・運用を開始し、再エネ普及に貢献していきます。
*1)出典:経済産業省 エネルギー庁「再エネ出力制御の低減に向けた取り組みについて(2023年5月29日)」より
【テレビショッピング研究所について】
テレビ・インターネット(ダイレクトテレショップ)及びカタログ等の媒体を通じて、健康食品・日用雑貨・家電・フィットネス・理美容商品などを販売するダイレクトマーケティング事業を行う。青汁三昧やジニエブラ、フレーバーストーンなどロングセラーヒット商品を数々開発し、2009年には売上高100億円を突破し、事業規模を拡大。2021年度の売上は189億円に到達した。
企業概要
社名 株式会社テレビショッピング研究所
設立 1969年10月
代表者 代表取締役会長 高橋 正樹
代表取締役社長 莫 慶
本社所在地 東京都大田区西蒲田7-25-7
事業内容 通信販売事業、小売店への卸売業
URL https://www.teleken.co.jp/
【熊本県荒尾市について】
福岡・熊本両都市圏の中間にあり、鉄道や道路ネットワークが整っていることで都市部への通勤・通学がしやすいことや、コンパクトな市域の中に海・山・都市の環境が揃っているなど都市機能と自然のバランスがとれていることから、多様なライフスタイルを送ることができ、居住環境としても高い魅力がある。また、歴史的資源や伝統文化、観光資源も豊富で毎年200万人の観光客が訪れている。
自治体概要
自治体名 荒尾市
市長 浅田敏彦
人口・世帯数 49876人・23991世帯(2023年7月28日現在)
URL https://www.city.arao.lg.jp/
【afterFITについて】
グリーンに特化し、発電・送電・売電の電力3事業を展開するグリーン電力会社。自社で開発から保守管理まですべてを一気通貫で行える強みを生かし、発電事業領域で成長。その実績とノウハウで系統用蓄電池開発や電力の市場運用なども行う。その他、AIを活用した発電適地探しや大規模蓄電池をアルゴリズム制御するシステム開発など、グリーン電力の課題解決に注力している。
企業概要
社名 株式会社afterFIT
設立 2016年10 月
代表者 代表取締役 谷本 貫造
本社所在地 東京都港区芝大門2-4-6
事業内容 グリーン電力事業
URL https://afterfit.co.jp/
◇系統用蓄電池事業に関して https://afterfit.co.jp/storage