
北海道大樹町(町長:黒川豊)は、室蘭工業大学の公認サークル「学生宇宙研究開発機構 SARD Hybrid Rocket Project」(SARD)が2026年3月14日、大樹町にてハイブリッドロケットの打上げ実験を行い、成功したことをお知らせします。
本実験は、自作エンジンの実証と飛行時の燃焼圧力などのデータ取得、高度600m到達を主な目的として実施しました。実験の結果、各機能は設計通りに機能することを確認し、目標高度に到達しました。今回の成果を踏まえ、将来の宇宙空間(高度100km以上)到達に向けて開発を進めます。
SARDは室蘭工業大学公認の宇宙系ものづくりサークルで、エンジンの設計・製作から機体開発、地上燃焼試験など実験の運用まで一貫して学生が主体となって実施しております。大樹町での打上げ実験は初めての実施となりました。
大樹町は、民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」やその周辺エリアで、年間約40件の航空宇宙関連実験を受け入れています。今後も、実験に取り組みやすい環境整備を進め、企業や団体の研究開発と航空宇宙産業の発展、人材育成に貢献します。
実験概要
- 試験日:2026年3月14日
- 試験場所:北海道広尾郡大樹町美成の農道
- 試験目的:自作エンジンの実証と飛行時の燃焼圧力などのデータ取得、高度600m到達
- 試験結果:高度は712mに到達し、射点から南東185mに落下。打上げは成功し、エンジンは設計通りに機能することを確認した。また、パラシュートも機能し、機体の回収にも成功した。今後、飛行データや回収した機体を分析し、次機の開発に役立てる
ロケット概要
- 名称:H13-M2 宙の芽
- 機体:GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)チューブを主体としたモジュール構造
- エンジン:燃料は固体のポリエチレン。酸化剤は気体酸素
- 全長:1.834m
- 直径:13.5cm
- 全備重量:約11kg
- 乾燥重量:約10kg
室蘭工業大学 SARD Hybrid Rocket Project 概要
- 教員責任者:室蘭工業大学 大学院工学研究科 准教授 湊 亮二郎(みなと りょうじろう)
- 学生責任者:理工学部航空宇宙学科航空宇宙工学コース 3年 島 杏成 (しま あんな)
- 所在地:北海道室蘭市水元町27-1
- 団体概要:「自主的に考え、行動する」ことを基本理念に掲げ、学生が主体となりロケットや宇宙探査機、人工衛星の研究・開発に取り組んでいる大学公認のサークルで、2011年に発足しました。
- ウェブサイト:https://muroransard.wixsite.com/sard
北海道大樹町 概要
- 代表者:町長 黒川 豊(くろかわ ゆたか)
- 所在地:北海道広尾郡大樹町東本通33番地
- 町の概要:人口5,200人の一次産業が中心の町です。1984年の北海道大規模航空宇宙産業基地構想で航空宇宙基地の適地とされ、以降約40年にわたり宇宙のまちづくりを推進しています。2022年度に小型人工衛星打上げ用のロケット射場Launch Complex 1(LC1)の建設に着手し、北海道スペースポートを核とした宇宙版シリコンバレーの形成を目指しています。
- ウェブサイト:https://www.town.taiki.hokkaido.jp
北海道スペースポート(HOSPO)とは
HOSPOは、2021年4月に大樹町で本格稼働した民間にひらかれた商業宇宙港です。大樹町はロケットを打ち上げる東と南方向に海が広がり、広大な土地による射場の拡張性の高さ等の地理的優位性があることから、宇宙港の適地として40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきました。宇宙関連産業の集積である「宇宙版シリコンバレー」を北海道に創出することをビジョンとし、宇宙港を核とした地域活性化に取り組んでいます。
企業版ふるさと納税を活用し、人工衛星の打上げに対応した射場Launch Complex 1(LC1)の整備を進めています。地域性を活かした取り組みが評価され、大樹町は2022年度の内閣府特命大臣表彰を受けました。また、大樹町とSPACE COTANは2026年2月、HOSPOを核とした宇宙のまちづくりの取り組みが評価され、第7回宇宙開発利用大賞で内閣府特命担当大臣(宇宙政策)賞を受賞しました。
LC1の整備後は、高頻度打上げが可能な射場Launch Complex 2(LC2)の整備に向けた検討を進めるほか、将来的には大型ロケットや有人ロケット打上げに対応するLaunch Complex X(LCX)や、P2P(高速2地点間輸送)の受け入れに向けて3,000m滑走路の新設も検討します。
また、大樹町とSPACE COTANは、2024年10月に世界5大陸の8商業宇宙港で国際協力に関する覚書(MOU)を締結し、打上げ需要の拡大に応えるため、参加宇宙港とともに射場の国際標準化による相互運用性の確保や運用コスト削減に向けた合理化などの検討を開始しました。
2025年1月には宇宙戦略基金に採択され、ロケットの打上げ高頻度化を目指した射場基盤技術の研究・開発を進めています。さらに、2025年7月には台湾企業の日本法人「jtSPACE」が、海外資本としては国内初となるサブオービタルロケットの打上げをHOSPOで行いました。

北海道スペースポートの将来イメージ