株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区、代表執行役社長:牧山浩三)は、京都女子大学(所在地:京都市東山区)家政学部生活造形学科成実弘至研究室と、法政大学(所在地:東京都町田市)社会学部メディア社会学科藤代裕之研究室らとコラボレーションし、京都市、韓国ソウル特別市のそれぞれの街で「定点観測」を実施しました。
本企画は、同社のファッション・カルチャーのシンクタンク部門である「ACROSS」編集部が、1980年8月より毎月東京を中心に実施している独自のフィールドワーク「定点観測」の理論や実践、応用することを目的とした他企業や団体と共同で行う研究活動です。2000年以降、他企業や団体からの受託業務として行ってきましたが、36年目となる本年、新たに、大学の研究室と協議の上、お互いの知見を交換しつつ、産学協同のプロジェクトとして始動することになり、去る2015年11月28日(土)、京都と韓国のソウル特別区にて実施しました。
各地点、プレサーベイを実施した末に注目したファッションのアイテムやスタイルは以下の通りです。
・東京(渋谷公園通りパルコ前周辺、原宿神宮前交差点周辺、新宿東南口および紀伊国屋書店前周辺)
カウントアイテム:男女リュック
ズームアップアイテム1.オフタートル
ズームアップアイテム2.アディダス
・京都(四条河原町藤井大丸前周辺)
カウントアイテム:女性ショートコート、うち黒
ズームアップアイテム1.:ショートブーツ
ズームアップアイテム2.:リュック
・ソウル(カロスキル)
カウントアイテム:女性ショートブーツ
ズームアップアイテム1.:ロングコート
ズームアップアイテム2.:ハット
・NY:(ソーホー)
カウントアイテム:男女ショートブーツ
ズームアップアイテム1.ロングコート(ヒザ下丈)
ズームアップアイテム2.ワイドブリムハット
「定点観測」の結果は、東京に関しては既にオンラインマガジン「ACROSS」にて公開(http://www.web-across.com)しており、来月には他地点も随時公開していく予定です。
今回の取組みは、各大学の研究室や学生にとっては、実際に、街に出て、「定点観測」を行うことで、ストリートファッション、流行の実態や、コミュニケーション能力、他者や文化への理解力などを学ぶことを目的とした実験的な社会実習であり、一方、弊社にとっては、CSR活動の4つの柱の中の、“次世代”、“文化”、“地域”の3分野に連関するプロジェクトでもあります。
今後は、年2回を目標に、継続的に実施していく予定で、共同での研究発表なども予定しています。
なお、ニューヨークに関しては、契約ライターの宮本諒氏に依頼し、2013年12月より年2回実施しており、今秋は京都やソウルに合わせて11月28日に第5回目の実査を行いました。4地点での比較分析なども近日中に記事としてアップする予定です。
■ 「ACROSS」編集部とは?
1977年に設立したパルコのファッションとカルチャーのシンクタンク。2,000年以降、社内だけでなく、外部企業との共同調査研究やコンサルティング、トレンド予測なども行っている。
http://www.web-across.com
■ 「定点観測」とは?
1980年8月より毎月実施している「定点観測」は、古くは今和次郎の考現学、近年では、カルチュラルスタディーズやフィールドワーク、エスノグラフィーといった文化人類学や社会学的な研究方法を、東京の若者とファッション・カルチャーを観察・分析するための手法として独自に応用・開発した調査・研究活動。具体的な方法は以下の通り。
◯「定点観測」の手順
1.プレサーベイ(下調べ)/ブレスト(検討)
・観察するべき対象を発見する⇒カウントアイテム(今のマストレンド)と1つ、ズームアップアイテム(今後流行しそうなアイテムやスタイル)を2つの計3つのテーマを定める。
・観察できるよう定義を明確にする。
・仮説を見出す。
2.実査(実際に調査する)
・観察+撮影する、仮説を検証・再発見する。
・カウント(測定)する:男性通行人数、女性通行人数、うちスカート着用者数、当該テーマの着用者数を測定し、流行の浸透具合を数値化する
・インタビューをする(アクティブインタビュー)。
3.分析/情報(マルチサイデッド・エスノグラフィー)、気づきのダウンロード(共有)。
4.記録、情報をまとめる。
5.メディアに掲載する(記事として掲載する/レポートとして納品する)。