極度のストレスが発達に与える影響を懸念

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、http://www.unicef.org/media/media_90745.html からご覧いただけます。
【2016年3月24 日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は今日、7歳未満の8,670万人以上の子どもたちが生まれてからずっと紛争状態の中で暮らしており、脳の発達に関して高いリスクに曝されていると発表しました。
生まれてからの7年間、子どもの脳は毎秒1,000個の脳細胞を活性化させる可能性を有しています。「ニューロン(神経細胞)」と呼ばれるこの細胞の一つひとつが、他の1万個のニューロンと毎秒数千回も結びつく力があります。この脳内で起きている結合が、健康、精神的な幸福、学習能力を決定付け、子どもの将来を作り上げていくのです。
紛争下で暮らす子どもたちは多くの場合、極度の心的外傷を受けており、有害なストレスを抱えながら暮らすリスクに曝されています。その状況は脳細胞の結合を阻害し、子どもたちの認知的、社会的、身体的発達に、著しい長期的影響をもたらします。

「危機下の子どもたちは、短期的な身体的脅威に加えて、根深い心の傷を負うリスクにも曝されています」 とユニセフの子どもの早期ケアと教育部門部長ピア・ブリットは話します。
ユニセフのデータは、世界中で6歳以下の子どもたちの11人に1人が、脳の発達にとって最も重要な時期に、紛争下で育っていることを示しています。
「紛争は子どもたちから安全、家族、友人、遊び、そして日常を奪います。しかし、これらはすべて、子どもたちが十分に成長し、効果的に学習し、経済・社会に貢献することを可能にし、そして大人になった時に強く安全なコミュニティを築く上で、最大限の可能性を与える幼少期の要素なのです」とブリットは述べています。
「だからこそ、私たちは子どもたちと保護者に対して、教材、心理社会的支援、紛争の最中にあっても子ども時代を取り戻すことができる、安全で子どもにやさしい空間などの、不可欠な物資やサービスを提供するために、より多くの投資をしなければなりません」

子どもは2億5,300万個の機能性ニューロンを持って生まれますが、結合可能なニューロンの数が、成人の脳として十分な約10億個に達するかどうかは、主に、幼少期の発達にかかっているのです。それは、母乳育児と幼児期の栄養摂取、保護者による早期の刺激、早期の学習機会、安全で健康的な環境で育ち遊ぶ機会などです。
人道的な緊急事態と長引く危機への対応の一環として、ユニセフは教材や遊び道具を含んだ緊急キットを提供しながら、子どもにやさしい環境下で子どもたちを守るために活動しています。緊急キットは昨年だけで、緊急事態に置かれた80万人以上の子どもたちを支援しました。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)