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【新潟医療福祉大学】脳卒中後の回復を目指した研究への提言

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―「治療のねらい」と「評価方法のずれ」が治療効果を見えにくくしている可能性―

NSGグループの新潟医療福祉大学義肢装具自立支援学科の金澤雅人教授、新潟大学脳研究所の研究グループは、脳卒中後の機能回復を目指した治療法(細胞療法を含む)を検討しています。今後どのように検討を進めるべきかを明確にするため、脳卒中後の運動機能回復に関する臨床研究が、なぜ一貫した成果を示しにくいのかを検討しました。そのことについてまとめた論文(Brief Opinion)が、2026年5月28日付で国際学術誌「Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism」に掲載されました。

研究について

【研究概要】
脳卒中は世界的で主要な後遺障害の原因であり、命が助かった後も、手足の麻痺や日常生活への影響が長く続く方が少なくありません。近年、リハビリテーションや最新治療(磁気刺激、細胞療法を含む再生療法など)によって「回復を促す治療法」が数多く開発されていますが、臨床試験では「効果がはっきり示されない」「有望と考えられるにもかかわらず結果が出ない」研究が少なくありません。
本論文は、現在の機能回復療法の効果とそのエビデンスレベル、評価方法を整理しました。そのうえで、「治療そのものが効かない」のではなく、治療の狙いと、回復を評価する評価指標が合っていないために、効果が見えなくなっている可能性を指摘しました。

【研究のポイント】
◆なぜ「効果がない」と判断されてしまうのか?
脳卒中後の治療には、次のようにさまざまな目的があります。
・ 筋力や神経機能そのものを改善する(再生療法、脳刺激など)
・ 手を動かす・歩くといった動作を良くする
・日常生活や社会復帰を目指す生活機能の改善させる
しかし、これら異なる目的をもつ治療が、同じ評価方法(例:全体的な障害の重さを示す指標 modified Rankin Scale(mRS)やBarthel Index(BI))で判断されていることが少なくありません。
その結果、
・ 手の動き(Fugl-Meyer Assessment:FMA)は確かに良くなっている、
・歩行速度や歩行持久力が向上しているにもかかわらず、
・「生活全体への影響」という大きな指標では変化が出ず
・ 「効果がなかった」と結論づけられてしまう
つまり、「効果が小さい」のではなく、目的と評価のミスマッチにより、実際には効果がある治療でも「無効」と判断されている可能性があります(図参照)。

◆「回復」を正しく測るために必要な視点
研究チームは、世界保健機関(WHO)が提唱する「国際生活機能分類(ICF)」に基づき、回復を
1. 身体機能レベル(筋力・麻痺の程度など)
2. 動作レベル(物をつかむ、歩くなど)
3. 生活・社会参加レベル(日常生活の自立、生活の質)
の3つに整理し、 治療がどのレベルを良くしようとしているのかに合わせて、評価方法を選ぶことが重要だと強調しています(上記図参照)。

◆「統計的に有意」だけでは足りない
論文ではもう一つ重要な点として、「数字上の差」だけでなく、「患者さん自身が良くなったと感じられる変化」を見る必要性が示されています。
たとえ統計的に差が出ても、患者さんの生活が変わらなければ意味はありません。一方で、全体の平均では目立たなくても、実際には大きく改善する患者が存在する場合もあります。

そこで研究では、「患者さんにとって意味のある改善幅(最小臨床重要差MCID:日常生活の変化につながる最小限の改善)」を用いた評価の重要性が提案されています。

【今後の研究】
◆今後の脳卒中治療研究に向けて
本研究は、治療法の優劣を決めるものではありません。患者さんの役に立つ治療を社会に届けるために、「評価の仕方そのものを見直す」必要性を示しています。
研究チームは、今後の脳卒中治療研究において、
・ 治療の狙いと評価指標の明確な一致
・ 長期的なフォローアップ
・ 患者さんの実感を反映する指標の活用
が重要になると結論づけています。

【原論文情報】
論文名:Interventions and Outcome Measures for Motor Recovery After Ischemic Stroke: The Importance of Intervention-Outcome Alignment
DOI:https://doi.org/10.1177/0271678X261454108
著者:金澤雅人、玉越敬悟、畠山公大

【研究者情報・問合せ先】
新潟医療福祉大学リハビリテーション学部義肢装具自立支援学科
教授・金澤 雅人
E-mail: masato-kanazawa*nuhw.ac.jpまたはmasa2*bri.niigata-u.ac.jp
*を@に変えてください
Tel: 025-257-4455(代表番号)

【新潟医療福祉大学】 https://www.nuhw.ac.jp/
全国でも数少ない、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITを学ぶ6学部16学科の医療系総合大学です。この医療系総合大学というメリットを最大限に活かし、本学では、医療の現場で必要とされている「チーム医療」を実践的に学ぶことができます。また、全学を挙げた組織的な資格取得支援体制と就職支援体制を構築し、全国トップクラスの国家試験合格率や高い就職実績を実現しています。さらに、スポーツ系学科を有する本学ならではの環境を活かし、「スポーツ」×「医療」「リハビリ」「栄養」など、スポーツと融合した学びを展開しています。

<NSGグループについて>
NSGグループは、教育事業と医療・福祉・介護事業を中核に、健康・スポーツや建設・不動産、食・農、商社、広告代理店、ICT、ホテル、アパレル、美容、人材サービス、エンタテイメント等の幅広い事業を展開する101法人で構成された企業グループです。それぞれの地域を「世界一豊かで幸せなまち」にすることを目指して、「人」「安心」「仕事」「魅力」をキーワードに、地域を活性化する事業の創造に民間の立場から取り組んでいます。

<NSGグループホームページ>
https://www.nsg.gr.jp/

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