宮崎吾朗氏が明かすスタジオジブリ最新作の誕生秘話と、「パノラマボックス」を通じた父・宮崎駿監督との“親交”
7月8日から、スタジオジブリの新作短編アニメーション「魔女の谷の夜」が愛知県のジブリパークで上映される。これは宮崎吾朗氏と、これまで「ハウルの動く城」の作画監督などを手掛けてきた山下明彦氏による共同監督作品。宮崎氏にとっては「アーヤと魔女」(2020年)以来、6年ぶりの監督作になる。この機会に、ジブリパークの制作全体を指揮し、スタジオジブリの常務取締役でもある宮崎氏が、今何を考えて、これから何をするつもりなのか。その心境も含めて伺った。(構成・金澤誠)

宮崎吾朗氏(スタジオジブリにて)
2022年に開園したジブリパークには、映像を上映できる「映像展示室オリヲン座」が設けられている。そこでジブリ美術館向けの短編作品を上映してきたが、宮崎吾朗氏はこう語る。
「ジブリ美術館のために作ったものは、やはりジブリ美術館で観てもらいたいという気持ちがどこかにありました。ジブリパークが開園したときに、アトラクションがないと周りから随分言われたんですね。スタジオジブリは映像の会社ですから、映像そのものがアトラクションになるのではないかと思い、ジブリパーク用の短編を作ろうと思い始めたんです」(宮崎吾朗氏、以下同)
こうして生まれたのが「魔女の谷の夜」だ。監督には、「千と千尋の神隠し」の原画、「ハウルの動く城」の作画監督など、21世紀のジブリ作品を支えてきた山下明彦氏を起用。「共同名義でやりましょう」と声をかけた経緯について、宮崎氏は笑いを交えてこう話す。
「宮崎駿は『俺はやらない。もうアニメーションに興味がない』と言っていますから。本当は僕もやりたくないんですが、誰もやってくれないので(笑)。作品作りを頼むにしても、企画案が必要ですから、僕の方でいくつか案を考えて、実際に作品を作ってくれる人を探していったんです。それで旧知の山下さんにお願いしたら、『独りはちょっと…』と言うので、じゃあ共同名義で、ということになったんです」
作品の舞台は、ジブリパークに実在するエリア「魔女の谷」。これには明確な意図がある。
「自分が『さっき見た』、あるいは『これから見る』ジブリパークの場所が、作品の舞台になっていたらお客さんにどう見えるだろうかと考えました。実はさっき見た魔女の谷が、夜になるとこうなるかもしれない--そんな風に感じてくれたら、同じ場所が違って見えてくる。現実にジブリパークに来たお客さんが、映像を観ることで頭の中でアトラクションを体感できる作品になればいいと思ったんです」
ジブリパークは2期工事を終え、当初計画されていた施設が完成した。しかし宮崎氏は、これを維持・発展させることの難しさをこう語る。
「壊れたものを修理したり、汚れをきれいにしたりという発想だけでは維持できないということがわかってきました。その場所に人が住んでいるんだという前提で、中身を変えていかなくてはいけない」
たとえばジブリパーク内に飾る服はシーズンごとに替わり、食べ物も季節によって違うはず--と宮崎氏は続ける。さらに「汚れが味になる作品」と「古びることが世界観に合わない作品」があり、作品ごとに異なる配慮をしながら継続的に変化させていくことが、場所のフレッシュさを保つ鍵だと言う。
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宮崎吾朗氏が今後、再び長編アニメーション制作を手掛けることはあるのか。また、父である宮崎駿監督が3年半の歳月をかけて作った「パノラマボックス」をめぐって、親子の間でどのようなやり取りが交わされたのか――。新潮QUE(キュー)では、「宮崎吾朗が本音で語った60分」と題し、宮崎氏の「現在地」に迫ったインタビューをお届けしています。
【記事はこちらから!】
宮崎吾朗が本音で語った60分 クリエイターとしての「現在地」と「魔女の谷の夜」で6年ぶり監督復帰の理由
https://que.dailyshincho.jp/node/18528/
宮崎吾朗が語る60分 いま子どもたちに伝えたいメッセージと「パノラマボックス」を通じた父・駿との“親交”
https://que.dailyshincho.jp/node/18531/
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