近年、AIスピーカーの流行や最新のAIを搭載した「aibo」の販売など、一般家庭にもAI・ロボットが普及し始めている。また、地震や台風による被災地での復興支援にもロボットが大活躍した。AI・ロボットの活用に期待が集まる一方、「人間の仕事がなくなってしまうのでは」という心配の声もあがっている。
そんな時代背景を踏まえ、「ユーキャン」は20〜40代のビジネスパーソン310名を対象に、AI・ロボットによる仕事代替に関する意識調査を実施した。
「10年後、あなた自身が遂行されている業務(仕事)はAIやロボットに代替されていると思いますか?」という質問に対し、40.0%が「代替されない」、36.8%が「代替される」と回答し、拮抗した結果に。
また、「10年後、今世の中にある業務(仕事)の何パーセントがAIやロボットなどのテクノロジーに代替されると思うか」と聞いてみると、最も多かった回答は「21~30%」が22.9%。平均すると今世の中にある仕事の33.2%がAI・ロボットに代替されるという結果になった。
次に、「AIやロボットなどのテクノロジーが発展し、仕事の代替が話題になっていくことに対しての気持ち」を尋ねると、「とても期待している」が11.3%、「期待している」が39.7%と肯定的に捉える人が51.0%と半数を超えた。
AIやロボットによる仕事の代替に期待すると回答した人、逆に不安を感じている人それぞれにその理由を聞いてみると、「期待する」と回答した人の中では、「人間がすべき仕事に集中できる」(38.0%)が最も多く、「仕事の量が減ったり、残業が減る(ワークライフバランスの充実)」(28.5%)、「ヒューマンエラーを減らすことができる」(26.6%)という理由があげられた。AIやロボットにできる仕事は機械に任せて、より高次元でクリエイティブなことに集中できると考える人が多いようだ。
一方、「不安を感じる」と回答した人の中では、「人間の仕事が奪われ失業者が増える」(40.0%)との回答が最も多く、続いて「自身の仕事がなくなる恐れがある」(36.8%)、「必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではない(最終的なクオリティは人の判断が不可欠)」(26.3%)という理由が挙げられた。AIやロボットに仕事を奪われることへの不安もあるようだ。
また、AIやロボットに関して知識があるビジネスパーソンの人が、AIやロボットの能力と自分の仕事に必要なスキルや資質などを照らし合わせて考えることができるため、不安を感じている人が少ない傾向が見られた。
最後に、AIやロボットなどのテクノロジーがさらに発展しているであろう10年後の未来に向けて「身につけておきたいスキルがあるか」を聞いたところ、「専門資格(専門知識・技術)」(28.1%)、「実行力」(24.2%)、「論理的思考力」(23.9%)、「課題を見つける洞察力」(23.2%)という結果に。
「10年後、AI・ロボットに奪われない資格」としては「保育士」(28.4%)、「介護福祉士」(20.6%)、「メンタルヘルス・マネジメント」(18.7%)が上位にランクイン。AIやロボットではおそらく満たすことができない、気配りや心のケアなど人ならではの細やかな心遣いを必要とする資格に票が集まった。
今回の調査結果を踏まえ、ロボット研究の第一人者である石黒浩大阪大学教授は、
「人間がやっている仕事は、ロボットに向く高速でのデータ処理や分析など“単純”なものばかりではなく、10年の間に仕事全部が奪われるほどの進歩はないでしょう。あえて『10年後ロボットに奪われない仕事は何か』という問いに答えるなら、日本社会では当たり前と思われていたような、人の心をくみ取りながら、人と関わりを持っていくようなコミュニケーションを必要とする仕事でしょう。」
とコメントしている。
『ユーキャン特設WEBサイト』( https://www.u-can.co.jp/2019research )