新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が長くなっている今、小さな子どもをもつ親は、絵本の読み聞かせをする機会が増えているかもしれない。
親子で話し合うきっかけに
絵本の画像や紹介文を掲載する「絵本ナビ」は、年間1400万人が利用する絵本の紹介サイトだ。同サイトでは、社会課題に関する絵本を通じて、子どもたちが身近に起きている問題に目を向けられるよう、様々なプロジェクトに取り組んでいる。
今回同社は、フィッシャーマン・ジャパン、G1 海洋環境研究会、セブン&アイ・ホールディングス、マルハニチロと共同で、絵本『さかなが いなくなっちゃうって!?』を制作。日本の海の危機的な現状を伝え、親子で話し合うきっかけとなるように企画した本だ。
日本の海の危機的状況を伝える
『さかなが いなくなっちゃうって!?』は、日本の海の危機的状況をテーマとしている。日本の海では現在、サンマ、サケ、イカといった身近な魚介が2019年にいずれも記録的不漁となっており、このほかの魚介においても全国規模で不漁のニュースが相次いでいる。
例えば、宮城県石巻魚市場では、たった10年間でホッケの水揚量がこのように減少。深刻な状況が見て取れる。
“このままでは、いつか魚が食べられなくなる日がやって来てしまう”、“未来を担う子どもたちに、海や魚のいまをきちんと知ってもらいたい”、“消費者として何をすべきか、親子で話し合ってもらいたい”。
そんな思いから、2019年夏に『海の絵本』の制作がスタートし、今年4月に絵本『さかなが いなくなっちゃうって!?』が完成した。
絵本のあらすじ
絵本のあらすじを一部紹介しよう。
「ある日、さとしに宅配便が届きます。いつも楽しみにしている『新鮮なお魚』の贈り物です。さとしのおじさんは漁師で、新鮮な魚をよく送ってくれていました。
しかし、同封されていた手紙の内容に、さとしは驚きます。『海の魚が少なくなっている』というのです。海には魚がたくさんいると思っていたさとしは、信じられませんでした。さとしは、遊びにきたおじさんに、その理由を聞くことにしたのですが…。」
作中では「漁業法」「海のエコラベル」といったトピックスが登場し、漁師の「おさかなはかせ」によってわかりやすく伝えられている。親子で楽しく海や漁業について学べる1冊だ。
絵本の届け方においても新たな試みを
4月1日発行の絵本『さかなが いなくなっちゃうって!? 』は、2月12日~4月8日の期間「GoodMorning」にてクラウドファンディングを介して支援者に絵本をプレゼントするという形式で配布されたのもユニークなところ。
大人から子どもまで、絵本を通じて社会の課題に触れて考える、良いきっかけになることだろう。