「週刊少年ジャンプ」の大ヒット漫画「約束のネバーランド」を、英米文学者・戸田慧氏が考察した書籍『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』860円(税抜)が集英社より発売中。
実写映画の公開やアニメ第2期放送開始を控えている今だからこそ、ぜひとも手元に置いておきたい副読本となっている。
英文学者が人気漫画を考察
意表をつく展開の連続や複雑な頭脳戦といった要素から「少年ジャンプらしくない」と評される「約束のネバーランド」。本書は、その物語の背景に多彩な文学作品や宗教に関する膨大な知識が窺えることに注目し、気鋭の英米文学者が専門の立場から作品を読み解こうと試みた考察本だ。
同時に英米文学、文化への最良の入門書でもあるのがポイント。平易な文章に加え、原作のカットを豊富に引用しているため、分かりやすく、気軽に読むことができる。
数々の謎の核心に迫る!
計算しつくされた緻密な設定のもと、複雑なストーリーが展開され、作中に様々な「謎」が散りばめられている「約束のネバーランド」。本書では、そのストーリーが踏まえているという英国文化や児童文学などについての基礎知識をわかりやすく解説することを通して、作品の核心へと迫っている。
「そもそも『約束のネバーランド』というタイトルの意味とは?」という最も根本的な疑問から始まり、登場人物たちのモデルと予想される意外な人物たち、主人公エマたちの「認識番号(マイナンバー)」にまつわる謎…など、数々の重要な設定についての考察が鋭く加えられている。
「鬼」たちの文化と社会を読み解く
物語のなかで極めて重要な役割を担っている「鬼」と呼ばれる生物の存在。本書では、「鬼語のモデルと考えられる古代文字」「鬼たちの社会のモデルになった国とは?」など、様々な観点から「鬼」の設定の背景が解説されている。
なお、本書はあくまでも「週刊少年ジャンプ」編集部から許諾を得たうえで、ひとりの文学研究者がアカデミックな視点から、作中の手がかりをもとに読み解いた考察本。
原作者の白井カイウ先生や出水ぽすか先生による意図を明かした「公式解説本」とは性格が異なるため、終盤にかけてのネタバレなど注意が必要だ。
物語をさらに深く楽しむうえで必要な英米の文化などの基礎知識を解説した、ファン必読の一冊『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』。本書を読んでさらに作品を楽しもう!
©白井カイウ・出水ぽすか/集英社