今から約1300年前につくられた『出雲国風土記』。「古代出雲のガイドブック」とも評される貴重な資料は、連綿と書き写されて現代にまで伝わっている。
『出雲国風土記』の写本画像を無料公開
島根県古代文化センターでは、所蔵する『出雲国風土記』の写本画像のうち3点を、島根県のホームページにて無料公開。
それぞれ筆で丁寧に書き写され、また多数の付せんや朱墨などが確認でき、当時深く研究されていたことが分かるという。
3点の写本画像
今回公開した3点は、いずれも江戸時代に書き写された写本。
特に「古代文化センター本」は江戸時代前期(17世紀半ば頃)のもので、現存する中では比較的古い『出雲国風土記』写本の一つ。他の写本との異同を記した約300点もの付箋が貼付されているという。
「『出雲国風土記』勧修寺家(かじゅうじけ)本」は、江戸時代中期(18世紀)頃の書写によるもので、「勧修寺」の蔵書印がある。この「勧修寺」家とは、藤原北家の流れをくむ公家。『豊後国風土記』と合冊された写本になっている。
「『出雲国風土記』菅野(すがの)本」は、国文学者の菅野雅雄氏の旧蔵本で、平成31年(2019)1月に所蔵者から寄贈を受けた。江戸時代に書写されたもので、朱墨による多数の書き込みや修正がある。
これらの写本の鮮明なカラー画像を自由に拡大し、ゆっくりじっくり『出雲国風土記』の世界を堪能できそうだ。
江戸時代の『出雲風土記鈔』の影印本を発刊
また、同センターでは、江戸時代につくられた『出雲国風土記』の最初の解説書『出雲風土記鈔(いずもふどきしょう)』の全ページ撮影画像を収めた影印本を刊行。
この『出雲風土記鈔』は、1683年、松江藩の役人であった岸崎時照が著した『出雲国風土記』の最初の解説書。「古代出雲歴史博物館」には現存最古の写本が所蔵されており、全ページ撮影して書籍として刊行したのが、今回発刊する影印本だ。
同書は書店での取り寄せ、またはインターネット通販で購入が可能。価格は定価1,500円(税抜)。詳細については、ハーベスト出版のサイトをチェックしてみてほしい。
昔の島根県周辺のこと、日本の姿に触れられる一冊。興味がある人は手にしてみて。