伝統的な茅葺技法を生かし、現代に応用する取り組みを進める「くさかんむり」が、茅葺の技法や魅力の認知拡大を目的として、施工や制作が完了したプロジェクトの実績報告をスタートした。
様々な方向から茅葺きの可能性や魅力を探る
神戸市北区淡河町を拠点に、伝統的な茅葺きの修復から、現代的な茅葺きへの挑戦、そしてより多くの人々に茅葺を知ってもらうためのワークショップやセミナーを開催している「くさかんむり」。
建物だけにとどまらず、様々な方向から茅葺きの持つ可能性や魅力を探り、引き出し、磨き上げて、今を生きる人達に届けるという目的を共有した職能集団だ。
今回はそんな「くさかんむり」の、5〜6月の2ヶ月分の実績を紹介する。
屋根全面の葺き替え&「芝棟」アレンジ
兵庫県西宮市のT邸では、屋根全面の葺き替えを実施。
従来の葺き替えに加えて、棟に芝を配置する「芝棟」というアレンジを施した。芝棟は主に東北地方を中心に例があるが、西日本ではあまり見ることのない技法だという。
また、施主の希望を反映して、棟には球根などを埋め、季節ごとに様々な花を楽しめるように仕上げた。
国の重要文化財建造物の補修作業
香川県高松市、四国民家博物館内の四国村下木家では、「差し茅」と呼ばれる補修作業を実施。
四国村下木家は国の重要文化財建造物で、屋根面積が約250平米と大きな屋根であることが特徴だ。
美容室の壁面を小麦藁で装飾
兵庫県神戸市東灘区御影の美容室DiOでは、店内のリニューアルに伴い、壁面を小麦藁で装飾。
平面をただ葺くだけではなく、藁の動きを感じられるよう、そして光に当たった際の毛並みの美しさが感じられるよう工夫を施している。
滋賀県立大学の学生に技術指導も
滋賀県彦根市石寺町の彦根麦酒 荒神山醸造所では、壁面装飾と同時に、滋賀県立大学の学生に対して技術指導を実施。壁面装飾には、地元・琵琶湖産のヨシを使用している。
上記プロジェクトのほか、これまでの実績については「くさかんむり」公式HPをチェックしてみて。