京都伝統産業ミュージアムでは、特別企画展「SHOKUNIN pass/path」を11月6日(土)〜2022年1月23日(日)の期間に開催する。
作り手としての現在地とこれからの工芸の座標
「中川木工芸」の中川周士氏と「開化堂」の八木隆裕氏が、2017年のミラノサローネで発表した同タイトルの展示を起点に始まった取り組みである「SHOKUNIN pass/path」。英語の「Craftsman」や「Artisan」とは異なる意味や性格を持つ「職人」という言葉と、職人による「職人性」への探究によってそれぞれの作り手としての現在地を示し、これからの工芸の座標を映し出す。
会期中は、陶芸・提灯・茶筒・木桶・金網の5つの工房が繋いできた“今”が見えてくる展示と、工芸を軸にしたシンポジウムやワークショップを開催する。観覧料は800円、18歳以下無料。
出展工房
出展工房は、「小嶋商店(小嶋俊・小嶋諒)」、「金網つじ(辻徹)」、「中川木工芸(中川周士)」、「朝日焼(松林豊斎)」、「開化堂(八木隆裕)」。
代を重ねて引き継いできたものや、それを超えて伝承されてきたものについて考え、手渡し続けてきたものの軌跡をそれぞれの工房の視点で表現する。
京提灯の製造・販売を行う「小嶋商店」は、江戸寛政年間創業。竹割から紙貼りまで一貫した手作業で頑丈かつ無骨な小嶋式提灯を生み出している。
江戸時代から伝わる伝統製法をベースに、「素材やフォルム、空間」と「提灯」との関係性を模索し、提灯が生み出す新たな景色を創り、未来に伝承することを目指している。
京金網は、京料理を支える調理道具として料理をつくる人たちに長らく愛用されてきた。
「金網つじ」は、これまでに学んだ知恵や経験を活かした「現代の生活に溶け込む商品づくり」をコンセプトに、手仕事で金網製品の製作・販売を行っている。
「中川木工芸」は、伝統的な製作技法を用いて、おひつや寿司桶など白木の美しい木製品を数多く制作。
近年、ほかの技法では表現が難しいデザイン性に富んだ革新的な作品の製作にも挑戦し、日本国内のみならず海外からも高い評価を得ている。
「朝日焼」は、京都・宇治の窯元として、1600年頃(慶長年間)創業。
茶の湯の茶盌、そして煎茶の宝瓶をともに現代の「朝日焼」として如何に位置づけるか取り組むと共に、海外の多様な茶文化へ接することで、未来の茶文化を築いていくことを目指し、活動を続けている。
「開化堂」は、1875年(明治八年)に英国から輸入されるようになった錻力(ブリキ)を使い、丸鑵製造の草分けとして京都で創業。以来、一貫した手づくりで初代からの手法を守り続けている。
へこみや歪みができても修理することで使い続けることができるので、これからも、百年使える暮らしの道具として人々に届けることを目指している。
■京都伝統産業ミュージアム
住所:京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 みやこめっせ B1F
※社会状況に応じて開催内容が変更される場合があります。公式HPにて最新情報のご確認をお願いします。