東京創元社から、新たな文庫レーベル「創元文芸文庫」が登場。第一弾として、凪良ゆうさんの本屋大賞受賞作『流浪の月』を2022年2月に創刊する。
60年以上の歴史を誇る版元
東京創元社は、1954年の創立から60年以上の歴史を誇る版元として、ミステリやSF、ファンタジイ、ホラーの小説を専門に出版。創立から間もなく刊行が始まった文庫レーベル「創元推理文庫」も、2019年には60周年を迎えた。主としてジャンル小説を刊行する叢書として最も古い歴史を持つ同文庫は、古典とされる名作から現代性をもつ意欲作まで、読者に数々の作品を届けている。
優れた文芸作品を文庫サイズで
時代の変遷や文化の隆盛にともない、国内外の文芸そのものにいくつもの大きな革新があった。21世紀も四半世紀を迎えようという現在においては、既存のジャンルの枠を超えて優れた小説が次々に生まれ、文芸がより豊かなものになっている。
そのようななかで同社による新たな文庫レーベル「創元文芸文庫」は、ミステリやSF、ファンタジイ、ホラーのジャンルに収まらない文芸作品を刊行していく。創元推理文庫が文庫という親しみやすいかたちで優れたジャンル小説を届けてきたように、優れた文芸作品を文庫サイズで読者に届ける叢書を目指している。
『流浪の月』を皮切りに3カ月連続で刊行
記念すべき創刊第一弾として凪良ゆうさんの『流浪の月』を文庫化。2020年本屋大賞を受賞した本作は、BL小説の気鋭として活躍してきた著者の初の一般文芸単行本として刊行されて、ベストセラーに。2022年には李相日さんによる監督・脚本のもと、広瀬すずさんと松坂桃李さんの主演で実写映画化も決定。読書界から破格の評価をもって迎えられた同作をさらに多くの読者に届けるべく、映画化に先駆けて2022年2月に文庫版を刊行する。
『流浪の月』の文庫化を皮切りに「創元文芸文庫」では3ヶ月連続で刊行が決まっている。
3月には〈マカン・マラン〉シリーズが累計15万部を超える古内一絵さんが国内映画産業の転換期を活写した力作『キネマトグラフィカ』を、4月には『52ヘルツのクジラたち』の2021年本屋大賞受賞が記憶に新しい町田そのこさんの『うつくしが丘の不幸の家』を刊行。以降、7月より奇数月の刊行が予定されているので、お楽しみに。
※書籍画像は単行本版の書影