松戸市立博物館にて、“館蔵資料展「イランの技とデザイン:奥井コレクション展」”を4月29日(金)~6月12日(日)の期間、開催している。
2021年、奥井俊美氏によって収集された資料が、松戸市立博物館に寄贈された。奥井氏のコレクションはイラン等で収集され、イスラーム陶器を中心に先史時代から近代に至るまでの多様な時代の資料を含み、総数は313点にのぼる。同展覧会では、初公開となる奥井コレクションの資料を通じて、各時代のイランを特徴づける製作技術やデザイン、それらの歴史的背景を紹介する。
イランおよび周辺地域に由来する銅石器時代~イスラーム時代(前5千年紀~後14世紀まで)の資料を展示。奥井コレクションから167点、従来からの所蔵資料2点の延べ169点。展示は時代ごとに分け4章で構成する。
I. いにしえの造形:銅石器時代~サーサーン朝期(前5千年紀~後7世紀)
イスラーム以前の資料を紹介しよう。最も古い資料は銅石器時代の土器だ。赤い化粧土をかけ、黒の顔料で文様を描いている。
奥井コレクションには前1000年前後、鉄器時代の初めごろの資料がある。表面が丁寧に磨かれた黒い土器や、ルリスターン青銅器とよばれる青銅製の武器、装飾品などが特徴的だ。
II. イスラームの多彩なデザイン:9~11世紀
9~10世紀ごろ、イラン北東部のニーシャ―プールでは多様な陶器が作られた。奥井コレクションからニーシャ―プールと共通する特徴をもった陶器を紹介。
III. 技術革新とターコイズブルー:12世紀後半~13世紀前半
イスラーム陶器らしいターコイズの釉薬をかけた陶器は12世紀以降に作られたもの。従来の天然陶土に代わってフリット胎土という土が使われ始めたため、釉薬もフリット胎土と相性がいいものに変わり、ターコイズの発色が可能になった。
「216_青緑釉下穿孔・刻線文鉢」「188_白釉上エナメル彩植物・抽象文鉢]」この時期には、焼き上げた釉の上から着彩し、再度焼成したエナメル彩陶器など高度な技術と手間を要する陶器も作られ、高級品として珍重されたと考えられている。
IV. モンゴリアン・インパクト:13世紀後半~14世紀
13世紀中ごろ、モンゴルがイランに侵攻し、イルハン朝が成立する。そのような歴史的背景のもと、陶器には中国的な器の形や文様が採用されるようになる。
館蔵資料展「イランの技とデザイン:奥井コレクション展」を観に、松戸市立博物館へ足を運んでみては。
■館蔵資料展「イランの技とデザイン:奥井コレクション展」
展示会期:4月29日(金)~6月12日(日)9時30分~17時(入場は16時30分まで) 月曜休館
展示会場:松戸市立博物館 企画展示室
住所:千葉県松戸市千駄堀671
観覧料:無料
松戸市立博物館公式サイト:https://www.city.matsudo.chiba.jp/m_muse/index.html