愛知県安城市に本社を置く「やくにたつもの、つくろう」は、産学連携プロジェクトで中学生が考案し特許を取得した新商品「脱着式袴SUZUKA」2万5000円(税別)を、7月4日(月)に発売した。
発明少女が社長の「やくにたつもの、つくろう」が支援
「やくにたつもの、つくろう」は、小学6年時に空き缶分別箱で特許取得を果たした神谷明日香さん(写真右)が社長を務め、小中学生のアイデアの特許取得と商品化を支援する会社。
新商品「脱着式袴SUZUKA」は、同社が2018年に同志社中学校2年社会科授業にて“身の回りのものごとに目を向けて役に立つものを作ろう!”という産学連携授業に取り組んだ際、今井涼香さん(写真左)の考案作品「墓まではいていたい、はかま」に特許取得と商品化の可能性を見出して支援を開始したのが始まり。コロナ禍を乗り越え、このたび発売されることとなった。
“不便”からファスナー式の袴を考案
剣道部に所属していた今井さんは、袴を着用する競技において女性の多くがトイレでの不便を感じていることに着目。袴の紐を解かず簡単に素早く脱着できるファスナー式の袴を考案した。
特許申請の際は、高齢者自らの生きがい充実や地域社会への貢献を目的とした安城市シルバー人材センターの会員に袴の試作品を作成してもらうなど、多くの人の協力を得て2020年8月特許取得に至り、京都新聞、中日新聞、朝日新聞、読売新聞に掲載された。
コロナ禍で生産難航、その間今井さん自ら改良を重ねる
新聞に掲載されたことで、多数の企業から商品化の申し出が殺到し、武道用品の老舗である京都・東山堂にて製造販売することが決定。商品化に向け順調に進んでいた。しかし、コロナ禍により製造する中国工場が停止となり国内工場で調整するなか、袴を着用する剣道や弓道の大会中止も相次ぎ生産が難航した。
その間に今井さんは、多くの剣道部部員へ試作品着用の感想を求め、感想を分析して改良案を自ら出し、東山堂と共に改良を重ねた。そして、当初の試作品よりも横ファスナーを長くして広く開くようにすることで、より着脱しやすくすることに成功。その後微調整を重ね、今回「脱着式袴SUZUKA」として販売開始が決定した。
ファスナーで脱着し女性の不便を解消
長い紐を体に巻きつけ結ぶことによって着付ける従来の袴は、紐を解かないと脱着できず、トイレ時には後ろ紐を解く必要があり、解いた紐は長くて始末に困る上、再度着付けるのに時間が掛かり、多くの女性が不便さを感じていた。
「脱着式袴SUZUKA」は、背面の腰板の下を横断するファスナーを取り付けることで、ファスナーを開けると腰板と後襲の上下に分かれるようになっている。
後襲がずり落ちて濡れないよう紐で固定されているため、紐を解かず簡単にトイレを済ますことができるようになった。ファスナーは腰板の奥に隠れているため、見た目は従来の袴と変りなく、着付け方法や着用感も従来の袴と同様で、競技での支障もない。
中学生が不便を解消すべく考案した「脱着式袴SUZUKA」をチェックしてみては。
やくにたつもの、つくろうHP:https://yaku-tatsu.com
東山堂HP:https://tozando.net