トレンドニュースサイト STRAIGHT PRESS【 ストレートプレス 】

LOCAL

島根県立美術館にてコレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」が開催

このエントリーをはてなブックマークに追加

奈良原一高《塔 Segovia Spain〈ヨーロッパ・静止した時間〉より》1963-65年 島根県立美術館蔵 ©Ikko Narahara Archives

島根県立美術館は、コレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」を9月2日(金)~11月28日(月)の期間、開催している。

戦後日本の写真を牽引した写真家

戦後日本の写真を牽引し、国際的にも高い評価を得ている写真家・奈良原一高氏。島根県立美術館では当初より、松江高校の卒業生でもある奈良原氏を重点作家として作品の収集を進め、2010年には大規模な回顧展「手のなかの空 奈良原一高1954-2004」を企画・開催した。

奈良原氏は2020年1月19日に88歳の生涯を閉じ、同美術館は遺族より305点の作品の寄贈を受け、全775点の全体像を見通せる世界最大規模のコレクションとなった。「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」では、新収蔵品のなかから《ヨーロッパ・静止した時間》《ジャパネスク》のシリーズ約100点を紹介する。

日本を代表するグラフィック・デザイナー

勝井三雄《LITHRONE project the appearance of light-a》2008年 島根県立美術館蔵 ©Mitsuo Katsui

一方、日本の戦後デザインを牽引したグラフィック・デザイナー勝井三雄氏(1931-2019)は、奈良原氏の親友として生涯親交を続けていた。2010年に「手のなかの空」展が開催されると勝井氏はすぐに駆けつけ、自らの作品を語る奈良原氏の文章の美しさに感銘を受け、『太陽の肖像 奈良原一高文集』が刊行された。

その縁で、日本デザイン史に残るポスターの中から89点、また奈良原氏と共作したカレンダーが遺族より寄贈された。今回の展覧会では、その全貌を約100点で紹介する。

日本写真史に残る奈良原氏の名作を展示

同展は、写真とデザインの領域で日本を代表する、厚い友情で結ばれたふたりの作家からの、島根県への心温まる贈り物だ。見どころとなる作品を紹介しよう。

奈良原一高《樹 Paris〈ヨーロッパ・静止した時間〉より》1965年 島根県立美術館蔵 ©Ikko Narahara Archives

奈良原氏は、1962年からの3年間でヨーロッパの4万7000キロを車で走破し、フランス、スペイン、イタリアなどの国々で撮影。帰国後初の写真集『ヨーロッパ・静止した時間』を上梓し、日本写真批評家協会作家賞、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞を受賞した。日本写真史に残る名作である同作からヴィンテージ・プリントを展示する。

奈良原一高《色〈ジャパネスク〉より》1968年 島根県立美術館蔵 ©Ikko Narahara Archives

また、ヨーロッパでの生活は、日本人としての自分をあらためて意識させるものであったという。奈良原氏は帰国後にヨーロッパの国々を見て来た眼差しで、あたかも異邦人のように日本を捉えた写真集『ジャパネスク』を刊行。日本の伝統文化の典型である「禅」「色」「刀」「富士」「能」「角力」などを新鮮な感覚で表現した作品群だ。

勝井氏の代表作であるポスターとカレンダー

勝井三雄《Graphic Trial 2012》2012年 島根県立美術館蔵 ©Mitsuo Katsui

1967年に制作された初期の作品から近作まで、勝井三雄氏の代表作である「ポスター」89点を展観。

《富士紡績カレンダー 1967》 デザイン:勝井三雄 衣装:森英惠 撮影:奈良原一高 1966年 島根県立美術館蔵 ©Mitsuo Katsui

勝井氏がデザインし、衣装は森英惠氏、そして写真は奈良原氏という顔ぶれで作成した富士紡績カレンダーは、1967年通産大臣賞を受賞。このほか、1970年までの一連のカレンダーを展観する。

島根県立美術館のコレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」にて、日本の写真とデザインを牽引した二人の作品に触れてみては。

■「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」
会場:島根県立美術館 コレクション展示室4・5
料金:一般300円、大学生200円、高校生以下無料
時間:9月 10:00~日没後30分(展示室への入場は日没時間まで)/10・11月 10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで)

島根県立美術館:https://www.shimane-art-museum.jp/

(山本えり)

最新情報をTwitterで受け取ろう!
最新情報をFacebookで受け取ろう!
前の記事
一覧へ戻る
次の記事