「ペーパル」は、廃棄されたもみがらを活用してできた紙素材「momi-kami(モミカミ)コートボール紙」を9月に開発、量産化に成功した。
1%をフードバンクに寄付
同社は、日本で年間約200万トンも排出されるもみがらをパルプに配合することで、地球環境に配慮した循環型社会の実現に貢献する。また、素材の売上の1%をフードバンクに寄付することで、フードロス問題の解決を応援するそうだ。
パッケージ用途に最適
同商品は、もみがらを紙の表面に出ないようにすることで、通常のパッケージに使われる紙から印刷性や加工性を損なうことなく、もみがらを活用することができた。厚みと強度のあるコートボール紙相当の素材を実現できたため、パッケージやスリーブなどへの活用に最適だ。
もみがらの廃棄問題
米のもみがらは、日本だけで年間約200万トン、世界中では年間約1億トン以上も排出されている。焼却時に発生する煙や悪臭のため焼却処分が禁止されている地域も多く、近年多様な活用法が提案されているが、多くが一般廃棄物として廃棄されている。
このような問題に対して、「おくさま印」のブランドで米の卸・販売業を全国に展開する幸南食糧から有効活用に関する問題提起があり、開発プロジェクトが立ち上がった。幸南食糧からもみがらの提供や品質の助言もらうなどの支援を受け、研究開発を進めたそうだ。
パッケージとして広く普及させるには、印刷や加工のしやすいコートボール紙相当の品質を実現できる必要があるとの意見をもらい、開発目標として設定した。
当初はもみがら特有の硬さや軽さから開発が難航したが、約10ヶ月に渡り試行錯誤を重ね、7月に最適な手法を編みだすことに成功。さらに表面にもみがらが露出しないよう製造することで、9月に印刷性や加工性を損なわない品質を実現させた同商品の開発、量産化に成功した。
今後について
幸南食糧の10月1日(土)発売予定の「お茶碗がいらない一膳お粥」シリーズの紙パッケージに活用し、プラスチック素材の削減ともみがらの廃棄問題に貢献するそうだ。今後は、その他の商品への紙パッケージへの展開を拡大してもらうなど、広く普及させることでもみがらのアップサイクル量の拡大を目指すという。
SDGsへの貢献について
これまで廃棄されてきたもみがらを活用してできた同商品の利用はSDGsに貢献にもつながるそうだ。農地などで焼却される煙や悪臭の低減に繋がったり、プラスチックの代替品としてパッケージに使用することで海洋プラスチックごみの削減に繋がるという。
もみがらを活用してできた紙素材「momi-kami コートボール紙」の今後にも注目してみては。
(角谷良平)