台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは、北九州市漫画ミュージアムおよび国立台湾歴史博物館と共同主催で、11月26日(土)~2023年1月22日(日)の期間、北九州市漫画ミュージアムにて「台湾漫画史不思議旅行-貸本屋さんと漫画の100年-」を開催する。
漫画の大衆化に大きな役割を果たした貸本屋
日本においても、漫画の大衆化に大きな役割を果たした貸本屋(有料の書籍レンタル店)。
江戸時代に始まった日本の貸本業は、第2次世界大戦後、古書でなく新刊の貸し出しに特化し、貸本屋だけに流通する「貸本漫画」の誕生とその人気の高まりなどを経て、全国的にその数を増やした。
物資が不足し、経済的に疲弊していた時代に、子どもから大人まで楽しめる身近な娯楽として、貸本屋は隆盛を誇ったが、高度経済成長期を迎える1960年代からこの業態は衰退し、2000年代以降に現れたごく簡易な業態のものを除いては、現在ではその姿を見ることはほとんどなくなった。
台湾貸本屋と漫画の歩み
台湾における貸本屋は、1895年に始まる日本の植民地支配時代に端を発し、おおよそ日本と同様の歴史をたどるが、そこで流通していた漫画を見ると、日本統治の影響など、台湾の社会的・政治的な変動が色濃く表れている。例えば統治時代、同時期日本で親しまれていた『のらくろ』や『冒険ダン吉』が台湾でも読まれていたことが分かっている。
戦後の台湾貸本屋には、中国上海からもたらされた連環画(れんかんが/中国式の絵物語)とともに日本の貸本漫画が並び、一方で台湾人による独自の少年向け漫画雑誌も刊行されるように。時代が下り、政府による検閲制度が強化された1960年代に入ると、海賊版の日本漫画が大量に出回った。1992年に著作権法が改正されて以降は、正規の単行本が流通するようになり、台湾の描き手による漫画作品も増加していった。
このように、台湾貸本屋と漫画の歩み100年を振り返ることは、つまり台湾の100年の歴史を振り返ることでもあるのだ。
台湾漫画史100年をたどる展示
今回開催される「台湾漫画史不思議旅行-貸本屋さんと漫画の100年-」では、台湾漫画史100年をたどり、台湾における貸本屋の歴史変遷を中心に、どのような漫画が読まれ、流通し、制作されてきたのかを一望する。
また、国立台湾歴史博物館が所蔵する台湾マンガに関連する資料や映像を通して、台湾と日本の共通点と相違、そして現代の台湾における漫画文化の独自の発展を紹介する。
ギャラリーツアーも開催
さらに、11月27日(日)14:00から、同展の企画・構成を担当した学芸員が展示室を案内する「台湾歴史博物館学芸員によるギャラリーツアー」も開催。
定員10人で、事前申込優先なので、参加希望の人は早めに予約しておこう。詳細はミュージアムHPをチェックしてみて!
北九州市漫画ミュージアムHP:https://www.ktqmm.jp/
(佐藤ゆり)