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【宮城県】巨大な防潮堤に壁画を描き新しい風景を生む「海岸線の美術館」が、石巻市雄勝町に誕生

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宮城県石巻市雄勝町(おがつちょう)でアート事業を行うSEAWALL CLUBは、同町の巨大な防潮堤に壁画作品を展示する野外美術館「海岸線の美術館」を11月26日(土)に開館した。

豊かな海産物などが名産の美しい漁村


雄勝町は、三陸のリアス式海岸沿いにある美しい漁村。2011年3月11日、東日本大震災の震源から最も近かった雄勝町は、20m級の津波の被害に遭い、町の8割が壊滅した。約4,000人いた人口は現在1,000人ほどになり、超高齢化地域の一つとなっている。ホタテ、カキ、ウニ、アワビ、ホヤ、ワカメなどリアス式海岸で育まれる豊かな海産物のほか、硯(すずり)や東京駅の屋根のスレートにも使われている雄勝石が同町の名産品だ。

巨大な防潮堤に壁画を描いていくアートプロジェクト


「海岸線の美術館」は、震災後に雄勝町の海岸線を囲うように建設された、高さ最大10m、全長約3.5kmの巨大な防潮堤に壁画を描いていくアートプロジェクト。人の暮らしを津波から守る壁でありながら、同時に美しい海の景色を遮る壁にもなっている灰色の防潮堤に絵を描くことで、海沿いに新しい風景を生みだし、海と人を、過去と未来をつなぐ場所に変えていくことを目標としている。

開館時間は1日中。休館日もなく、無料でいつでも自由に見ることができる世界に類を見ない野外美術館だ。壁画から壁画を巡りながら、この町にしかない魅力を隅々まで堪能できるような地域一体型の美術館を目指している。


館長の髙橋窓太郎氏は、東京藝術大学建築科で建築意匠設計を学んだ後、広告代理店勤務を経て、「海岸線の美術館」館長に就任した。

安井鷹之介氏による2作品が登場


美術館の開館にあたって、アーティストの安井鷹之介氏が描いた1作目の『THEORIA|テオリア』、


2作目の『A Fisherman|漁師』の2作品を同時に公開。雄勝の海景や漁師の姿をモチーフに描かれた巨大な壁画は、周囲の山並みや空と一体化し、季節や時間によって、その日その場所でしか出会えない鑑賞体験を生み出す。展示場所は、どちらもみうら海産物店裏防潮堤。


安井氏は、東京藝術大学彫刻科卒業。石膏と布で造形した彫刻で注目を集め、このオリジナルな手法を用い独特のボリューム感を持つペインティングも制作する。日本人離れしたセンスと現代的で開かれた表現が幅広い層の共感を呼んでいるアーティストだ。

なお、壁画の制作費用としてクラウドファンディングを実施し、1,000万円を超える支援が集まった。今後も1年に1〜2作品の壁画を制作し、美術館の範囲を拡大していく予定だという。


また、「海岸線の美術館」の開館を記念して、壁画の前で石巻の食・音楽・クラフトが楽しめる「雄勝壁画まつり」が11月26日(土)に開催された。当日は、東北ユースオーケストラによる「壁際演奏会」や奇妙礼太郎氏による「海岸線のライブ」をはじめとした数々のプログラムが上演され、約1000人が訪れ賑わった。

「海岸線の美術館」へ足を運び、壁画アートと雄勝町の自然を堪能してみては。

■海岸線の美術館
住所:宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目22
URL:https://kaigansennobijutsukan.com

(山本えり)

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