五常(五常財団)は、スリランカ緊急人道支援プロジェクトを実施した。
プロジェクトを実施した理由
スリランカはCOVID-19、政情不安、世界的なインフレの影響を受け、建国以来最大の危機を迎えている。2022年5月ごろから人々の生活は急速に悪化し、収入の激減、物価の高騰により最低限の食糧へのアクセスすらままならなくなった。
政府や国際NGOによる支援が遅々として進まないなか、2022年6月、五常財団は緊急人道支援プロジェクトを立ち上げ、特に栄養失調リスクの高い妊娠中の女性に食糧を届けることを決めた。
プロジェクトの概要
五常財団で寄付を募り、五常・アンド・カンパニーの現地法人であるSejaya Micro Credit(Sejaya)の支店を通じて支援を実施した。
また、スリランカの厚生省(Ministry of Health)と連携して、妊娠中の女性に現地大手スーパーマーケットのCargillsで食糧と交換できるバウチャーを提供した。
約1,500万円の寄付を達成
バウチャーは一人当たり5,000スリランカルピー(約1,800円)で、一世帯の約一週間分の食糧を購入できる金額だ。2022年9月までに約1,500万円の寄付を達成し、10~11月の二か月間で7,500名の妊娠中の女性にバウチャーを提供することができたという。
食糧が不十分であると回答した女性は86%
スリランカ緊急人道支援プロジェクトでは、バウチャーを受け取った女性のうち105名にサーベイを実施した。
今回の支援では収入の上限を設けなかったが、平均月収が2万~3万ルピー(約7,500円~11,000円)と低所得者層が多いことが分かった。
また、健康不安を抱えていると答えた女性は12%と少ない一方で、食糧が不十分であると回答した女性は86%と、多くが食料の調達に困難な状況であることが分かったという。
受益者へのインパクト
バウチャーはほとんどの場合、配布した当日または翌日に米、ダール(豆)、シリアル、砂糖などの必需品や、栄養価の高い肉や魚、フルーツなどの購入に使用されたそうだ。
また、回答者の95%が、バウチャーの家計へのインパクトが大きかったと回答した。
今回のスリランカ緊急人道支援プロジェクトは、現地の事情を熟知する現地法人の従業員だからこそ、迅速に有効な支援を届けることができたとしている。
受益者の声
受益者のLasanthika Lakmaliさんは「このような難しい状況で支援を届けてくださったことに感謝しています」とコメントしている。
五常財団は、今後も継続的な支援を行うという。
五常公式サイト:https://gojofoundation.org/
(角谷良平)