筆づくりを始めて104年目を迎えた文進堂畑製筆所は、日本初の伝統的工芸品・川尻筆の体験型ショールームを常設。
日本のみならず多くの海外ファンのリクエストに応えた、制作体験もできる施設が完成した。
書家が信頼を寄せる製筆所
文進堂畑製筆所・代表の畑義幸さんは、川尻筆伝統工芸⼠(第一号)。川尻筆は日本の四大筆の一つとされ、中でも、書家完全オーダーメイドで制作する文進堂畑製筆所は日本随一の筆として書家から信頼が寄せられている。
その理由は、皇室からも認められる数々のタイトルを受賞してきた経歴のみならず、希少な原⽑をつかい、一子相伝で筆に命を吹き込む技。技を受け継ぎ、進化を続ける文進堂畑製筆所は、2月に築100年を超える工房兼住居の一部を改修し、筆づくりが体験できるショールームを常設した。
150本の先行販売商品が完売状態に
2020年に川尻筆の技法「先ズラシ」を使った世界で唯一の化粧筆が発売されたところ、国内外のブラシファンの目に留まり150本の先行販売商品が完売状態に。
2021年にはニューヨークの著名経済メディア「Buisiness Insider」の取材を期に、着実に海外ファンを獲得し、“筆づくりを体験したい”という声が海外より多くよされるようになったことから、体験型ショールームが設営された。
海外で予想を上回る反響を得る
川尻筆の技法「先ズラシ」を使った化粧筆が制作されたきっかけは、2020年1月、企画を担当する畑友里さんが日本貿易機構の研修でフランスに訪れた時のこと。
ラグジュアリーブランドの本店と化粧品専門店舗へ、2011年に限定制作された化粧筆を持参してメイクアップアーティストに感想を聞いたところ“これはすごいよ。素晴らしい。どこで買えるんだ?”と、予想を上回る反響があったという。
制作工程の一部をインスタグラムで開示
発売された化粧筆は、当初国内の女性をターゲットに想定されていたが、伝統技法を全て駆使した職人が一貫制作する高級な化粧筆がこれまでに無かったことが追い風になり、海外でも⽕がつき即完売。制作工程の一部がインスタグラムで開示されたことも注目を集めるきっかけとなった。
また、「Buisiness Insider」の取材動画はYouTubeにアップロードされ、海外から「マスターに習いたい」「いつか文進堂に行きます」という反響がさらに増した。
体験型ショールームが完成
体験型ショールームは、先祖から受け継ぎ守ってきた家屋を伝統的建築要素を残し、革新的な新しいデザインを入れて改修するため、文進堂畑製筆所の筆づくりを深く理解する設計⼠Telaco.氏に依頼。パースデザインを見て即決し、改修が完了した。
プランの詳細
「筆づくり体験」の基本プランは1.5時間/1人20,000円(保険料込)。伝統工芸⼠畑義幸さん、畑幸壯さんから川尻筆の伝統製筆の5工程を教わり制作体験ができる。なお、「筆づくり体験」は1グループ6人までで、オーダーメイドプランは要問合せ。プランは予告なしに変更する可能性があるため注意を。
自分でフ海苔を使ってノリ固めをした小筆を持ち帰ることができ、ショールーム内で10,000円分の買物が可能。なお、完全予約制で予約サイトは3月中旬頃オープン予定だ。
文進堂畑製筆所で、ホンモノの筆づくり文化を体験してみては。
文進堂畑製筆所公式サイト:https://bunshindou.com/
(丸本チャ子)