春になると360種2,000株の牡丹が色とりどりに咲き誇り、庭一面花の浄土と化す「石光寺(せっこうじ)」。
今年は、牡丹の開花が早まりつつあり、見ごろは4月初旬から下旬となりそうだという。
「石光寺」オリジナルの牡丹も
「石光寺」の牡丹は、樹がよく育ち幹も太く、大きな葉が生い茂ったなかで大輪の花がバランスよく咲いている。
牡丹とニ上山をこよなく愛した先代住職作出の「二上」「二上時雨」「二上の夕映」「染井殿」、
現住職作出の「紅二上」など、「石光寺」オリジナルの牡丹がある他、品種が豊富で花色も花容も様々に楽しめる。
文化人に愛でられた牡丹
「石光寺」の牡丹は文化人に愛でられていた。
「死者の書」で知られる折口信夫氏、与謝野鉄幹・晶子夫妻など、牡丹愛好家の人々が時折訪れ、格調高い句や歌を詠んだという。境内には句碑や歌碑も建てられている。
観賞は午前中がお勧め
柔らかい花びらの牡丹は、強い陽射しと気温が上がる時間帯は花崩れる。そのため、観賞は午前中が推奨されている。
開花状況は、「石光寺」のインスタグラムやホームページで随時アップされている。
「白鳳弥勒石仏」弥勒堂開帳も
また、4月20日(木)~5月20日(土)の期間、文化財である日本最古の石仏「白鳳弥勒石仏」弥勒堂開帳が行われる。
平成3年に長い歴史のなかで、所在がわからなくなっていた石仏が発掘された。組み立てれば2メートル以上もあり、凝灰岩を丸彫りした仏様は白鳳時代以前には例がないということで「白鳳弥勒石仏」は、日本最古の石仏といわれている。
「石光寺」について
「石光寺」は、葛城市ニ上山のふもとにあり、日本最古の石仏、中将姫伝説のほか、牡丹・芍薬・寒牡丹の名所として知られている。
「石光寺」の草創は約1300年前、天智天皇(668~671在位)の勅願で建てられ、役小角(えんのおづぬ)の開山と伝えられている。
境内に奈良時代前期といわれる塔の大心礎があり、平成3年には弥勒堂改築に伴う発掘調査の結果、日本最古の白鳳時代の石仏(当時の本尊)と他に瓦や塼仏(せんぶつ)が出土した。
360種2,000株の牡丹が色とりどりに咲き誇る「石光寺」へ訪れてみては。
■浄土宗 慈雲山 石光寺
住所:奈良県葛城市染野387
公式サイト:https://sekkouji.or.jp/
(角谷良平)