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【東京都品川区】失語症当事者が、脚本家・演者として挑戦!朗読群像劇「言葉つなぐ明日へ」

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全国に50万人いるとされる、見た目は健常者と変わらない、見えない障害「失語症」。

ことばアートの会は、「失語症」当事者が脚本家、さらに演者として挑戦する異例の朗読群像劇「言葉つなぐ明日へ~語れぬ者たちの朗読教室物語~」を、7月1日(土)にきゅりあん(品川区立総合区民会館)小ホールで初公演する。

企画者や演者ほぼ全てが「失語症」の当事者

「失語症」は本来、話す・聞く・読む・書くという言語機能が著しく低下する障害だ。


同イベントは、企画者である石原由理氏自身も、当日群像劇を演じる演者らも、ほぼ全てが「失語症」の当事者というかつてない企画だ。

パラスポーツ等が注目される一方で「見えない障害」の当事者の活躍する姿は、まだあまり知られていない。障害を得た後も続く人生をいかに生きるか、医療の手を離れた後にも残る障害の自己回復に意欲的に挑む当事者らの生の姿を、朗読群像劇「言葉つなぐ明日へ~語れぬ者たちの朗読教室物語~」から、社会に強く伝えていくという。

言葉を失った者たちが挑む「朗読」

“言葉を失った、話せなくなった者が「朗読」に挑むなんて無理では?”と思うのは、早計だ。たとえ健常者のようにはいかなくても、残された言葉の機能を駆使して朗読に挑むことは、非常に高度なリハビリ課題。同じ障害を抱えるメンバーとともに、物語の解釈を楽しみながら挑むうちに失われた言葉が取り戻されていく、非常に前向きな再生行為でもある。

ことばアートの会代表の石原由理氏は、2013年に脳梗塞の後遺症として「失語症」となったが、発症前は戯曲翻訳家として、数々の劇団に作品を提供してきた。そんな言葉のプロであった同氏に降り掛かった、「失語症」という障害。

翻訳をしようにも、中学生レベルの英語も理解できない。自分が書いた台本も読めない。一時はうつ病を発症し、数年に渡って引きこもり状況にも陥ったという。そして、そんな同氏にとって再生の救いとなったのが、朗読と、かつて愛し続けた演劇表現の世界だった。

自らがリハビリ課題として効果を実感した「朗読」を、同じ失語症者のために広めたいとの思いから、2021年より「失語症者のための楽しい朗読教室」をスタート。朗読は、この障害の機能回復を促すだけでなく、当事者の魂をも救う。自らの経験と確信を柱に石原氏が始めた「失語症者のための楽しい朗読教室」は、2021年12月の第一期から延べ20人の失語症当事者を朗読演者として育てきた。

単なる朗読を超えた群像劇

今回の朗読劇に挑むのは、7人の「失語症」当事者と、「失語症」同様に脳損傷の後遺症である高次脳機能障害の当事者、さらに石原由理氏の旧友である元宝塚歌劇団男役スターの真野すがた氏や、石原由理氏の同級生である健常者。


高次脳機能障害当事者であり文筆業の鈴木大介氏が書き下ろした短編小説を、石原由理氏が朗読脚本化した台本を演題としている。

単なる朗読ではなく朗読群像劇とあるのは、石原由理氏が朗読に演劇的なノンバーバル(非言語)表現を取り入れて指導しているため。言葉の回復だけでなく、失った言葉を補う表現力に注目するのもまた、同氏自身が演劇人であることから生まれた、斬新な取り組みだ。

参加申込み受付中!


同イベントの開催日時は、7月1日(土)13:30~15:30(13時開場)。第一部は朗読群像劇『言葉つなぐ明日へ』、第二部は医師・長谷川幹氏と文筆家・鈴木大介氏を迎えたトークショー「失語症者にとっての朗読とは」が開催される。

参加費は、2,500円(自由席)。参加申込みは、Peatixにて受付中だ。

「失語症」当事者が、脚本家、さらに演者として挑戦する異例の朗読群像劇「言葉つなぐ明日へ~語れぬ者たちの朗読教室物語~」を、この機会にチェックしてみては。

■きゅりあん 小ホール(品川区立総合区民会館)
住所:東京都品川区東大井5丁目18−1
Peatix:https://kotoba-art-2023-07-01.peatix.com/view

(江崎貴子)

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